せっかく導入したツール、使わずに眠っていませんか?

情報セキュリティ対策、ライセンス監査対策として、多くの組織で管理ツールの導入が進んでいます。しかし、せっかく導入したツールがうまく使われておらず、多くの有用な機能が眠ったままというケースが多くあります。
今回はSKYSEA Client View(以下「SKYSEA」)を使ったライセンス管理において、基本となる機能の使い方とともに、ツールをうまく生かすためのポイントを紹介します。

現状把握と登録作業

ライセンス管理には、まず現状把握が必須です。そして、その現状把握にはハードウェアの情報、インストール済みソフトウェアの情報、保有ライセンスの情報、関連部材の情報が必要となります。この4つの情報を収集し管理するための機能と台帳がSKYSEAには備わっています。

現状把握のために、まずはハードウェア(端末)の情報収集が必要です。エージェントを各端末に配布して、端末の情報を収集しましょう。

ここで、2つのポイントがあります。

1つは、ライセンス管理の重要な要件である「網羅性」を高めるために、スタンドアロン端末の情報収集をできる限り行うこと。これはSKYSEAを利用して、USBメモリへのファイル書き出しなどでスタンドアロン端末の情報を収集することが可能です。

もう1つは、自動取得できない部署や設置場所に関する情報をどう入手するかという点です。場合によっては、個々の端末の利用者が特定できていないケースもあるかと思います。それらも含めて入手するための方法として、事前にID付きシールを配布して各端末に貼付しておきます。さらにSKYSEAの「アンケート」機能を利用し、利用者がログオンした際に端末ID、部署、設置場所等の情報を入力してもらうことで、自動収集できない必要情報を集めることが可能になります図1。また同時に端末情報として取得されるCPUやメモリなどの情報は、組織におけるPCの標準化や計画的な調達へも有用な情報となります。

【図1】アンケートで集計

アンケート名や設問項目を設定の図
対象を選択して、アンケートを開始の図

ソフトウェア辞書の利用

SKYSEAで各端末にインストールされているソフトウェアの情報を取得すると、ドライバーやパッチファイルを含む、非常に多くの情報が収集され、その数が100種類を超えることも珍しくありません。そこで必要となるのが、収集したソフトウェアの情報が有償ソフトウェアのものか無償ソフトウェアのものか、またはドライバーやパッチなのかといった分類です。SKYSEAの保守契約ユーザーであれば、SAMAC提供のソフトウェア辞書が利用できますので、この辞書と照合することにより、管理が必要となるソフトウェアを絞り込むことができます。このSAMACソフトウェア辞書は随時更新されていますので、新製品が出た後も、しばらくすると照合可能になります。逆にこの辞書がない場合、膨大な種類のソフトウェアを自分で分類しなければならず、非常に運用が困難になってしまいます。

保有ライセンスの確認と登録

次に、ライセンス管理には、ソフトウェアと紐づく保有ライセンスの確認・登録が必要です。保有ライセンスの登録のためには、

  1. ツールがどのように対応しているか
  2. 登録するためのライセンス知識

がポイントになります。1は、もちろんSKYSEAも対応していますので、保有ライセンスの登録画面で入力します【図2】。ただ、そこでポイントになるのが、2のライセンス知識です。【表1】は保有ライセンスの登録の際に必要なライセンスの基本知識ですので、参照してみてください。

【図2】保有ライセンスの登録

保有ライセンスの登録の図

【表1】ライセンス基本知識おさらい

ライセンス基本知識 概要と例
ライセンスの種別 OEM、プレインストール、パッケージ、ボリュームライセンスなど、同じ製品でも異なる種別のライセンスでは権利も異なる場合がある。
バージョン 新しいか古いかという判別になります。Version 2003、2008、2010、XP、7、8など。
エディション 上位版か下位版かという違いになります。Standard、Professionalなど、機能そのものが差別化されている場合や、構成される製品群が異なる場合、仮想化の権限が異なる場合等の違いがあります。
セカンドライセンス 同じユーザーであれば、もう1台にインストールして使用できる権利が付帯している場合があり、これは正しく管理することにより、有効活用できます。
CAL / NUP サーバーへアクセスするためのクライアント端末用ライセンス(CAL)やユーザー用の権利ライセンス(NUP)。サーバー用のライセンスは別途必要な場合が多い。
プロセッサーライセンス / コアライセンス 物理CPU、物理コア、仮想インスタンス、仮想へ割り当てするコアなどの単位で課金されるライセンス。CPUの種類や型番で必要なライセンス数が異なる場合もある。
ユーザーライセンス ユーザー単位でライセンスが必要となるもの。同じユーザーであれば無制限に利用できるものもあれば、利用可能台数の制約があるものもある。
ダウングレード権 購入ライセンスより下位のバージョンの利用権。ボリュームライセンスに付帯していることが多い。
アップグレード権と期間 購入ライセンスに対して、アップグレードできるライセンスを別途購入し、アップグレードの権利を取得する。一定期間のみ有効な場合もある。

関連部材の登録

ライセンス管理に必要な4台帳の最後は、関連部材台帳になります。組織内にはOEM、プレインストール、パッケージ、ボリュームライセンスなどのさまざまなライセンスが存在します。それぞれ箱やメディアが付属したり、別購入したりして存在していると思います。これらの情報が適切に登録、管理されないと、不適切なインストールのリスクが高まりますし、保有の証明不備も併せて、ライセンス監査等で思いもよらぬ請求となってしまうことがあります。

運用について

現状把握と台帳への登録という、ライセンス管理における最初のチャレンジが完了したら、次は運用です。ポイントは4台帳記載の情報の入口と出口をどう管理するかになります。申請、承認、発注、納品という「入口」と、廃棄申請、廃棄承認、廃棄、廃棄確認という「出口」を、SKYSEAの台帳管理機能とプロセスを使って運用することにより、効率的な管理が可能になります。

情報セキュリティ対策、ライセンス監査対策、コストの適正化といった組織の課題を、ツールを使って効率的に行うことが重要です。ぜひ、お持ちのツールの便利機能を有効活用し、適切なライセンス管理の運用サイクルを回すことをお勧めします。


(「SKYSEA Client View NEWS vol.38」 2014年9月掲載)

酒井英之氏

株式会社ライセンシング ソリューションズ
代表取締役
相田 雄二 氏
・公認SAMコンサルタント
・ISO SC7 WG21 エキスパート

アクセンチュア、SAP Japan等でのコンサルティング経験を経て、2000年より日本マイクロソフトにて、販売店関連の業務管理とライセンス販売契約管理を行い、2003年より日本と韓国のチームを統括する。2006年9月以後、本社組織にて、グローバル企業をはじめとする顧客別のライセンス契約の設計とその最終条件交渉に従事。2009年10月より3年間、日本マイクロソフトにおける、海賊版対策とライセンスコンプライアンス部門の総責任者となった後、2012年9月に退職。2013年4月、株式会社ライセンシング ソリューションズを立ち上げる。

Webサイト:http://www.licensingsol.com/

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