SAMの対象範囲を決める① 〜部署・組織編〜

SAMの対象範囲を決める①〜部署・組織編〜

本運用に先駆けて、SAMをパイロット運用する組織・範囲を決める

SAMは、原則としてすべての部署・組織が対象です。しかし、所有しているすべてのソフトウェアに対して、最初から本運用と同じレベルで管理するのは困難で、企業規模によっては現実的でないことがあります。あらゆることを想定してSAMの手順書を作成していても、実際には想定していない事象が出てくることも少なくありません。そういった想定外の事象が発生した場合には、一つひとつ対応策を講じ、規定、ルールの追加や変更をしていく必要があります。SAMを組織に浸透させていくにあたり、ルールが何度も追加・変更されていくことは、現場の方々を混乱させてしまいます。最初から全体にSAMを実施してしまうと、次々に変更が発生し、収拾がつかなくなることが考えられます。そのため、あらかじめ一部の組織・部署で先行してパイロット導入し、想定外の事象を洗い出しておきます。これにより、できるだけ本運用時に発生する「想定外」を少なくし、SAMをスムーズに定着させることができます。また、全体への導入に向け課題やリスクがある程度解決できれば、本運用時に発生する「想定外」をSAMのプロジェクトチームが対応できる範囲内に抑えることができます。 パイロット運用下で問題を出し切り、SAMを運用していく体制が整うと、次の対象範囲をどこまで拡大するのかを検討します。ここまでのパイロット運用で把握した想定外の問題が、一つの部署でどの程度出てくるのかを参考に、SAMのプロジェクトチームで対応可能な範囲内で拡大していきます。

パイロット運用を実施する対象範囲決定のポイント

SAM導入プロジェクトチームと同じ事業所内の部署を選ぶ

例えば、SAM導入プロジェクトチームの所在は東京、SAMをパイロット運用する部署は大阪というように選んでしまうと、問い合わせへの対応や、プロジェクトチームから確認することがある場合にも、電話やメールで行うことになります。その場合、直接確認できないため、状況が把握しづらくなります。自分たちが直接見ることのできる、プロジェクトチームの所在に近い部署を対象とすることで、確認や相談がしやすくなります。

確認作業が電話やメールでわかりづらい。

日中、職員が社内にいる部署を選ぶ

営業部など、日中ほとんど社内に職員がいない部署を選ぶと、質問対応などがすべて定時後となり、残業が発生してしまいます。定時内に対応可能な、外出の少ない部署を選ぶ方が効率的と言えます。

定時内に対応可能な、外出の少ない部署を選択するのが効率的。

選定には業務内容も考慮する

組織全体で同様の業務を行っている人数が多い部署に依頼することを検討しましょう。
(ex:営業社員が多い組織なら、営業部門に、開発社員が多い組織なら、開発部門に依頼。)

事前にチェック!対象に選定した部署で、こんなことが行われていませんか?

部門ごとにソフトウェアを購入している場合、ソフトウェアに詳しくない人が管理担当になっていることがあります。その場合、ライセンス管理が面倒という理由で、リテールパッケージのMicrosoft Officeを購入していることがあります。そういった部署では、以下のような使用許諾違反発生の可能性が!
(リテールパッケージ=一般に小売りされるソフトウェアパッケージ)

<考えられるNG事例>
リテールパッケージは、2台までインストールが許可されているので、2台のPCにインストールし、それぞれ別の従業員が使用している。

<なぜNGなのか>
リテールパッケージは、主に使用するPC1台のほかに、携帯用のPC1台にインストールすることができます。しかし、使用する人は特定の1人に限られています。Microsoft社のWebサイトには、リテールパッケージの使用について、以下のような記載があります。

Microsoft Office 2003 製品は、原則として1台のコンピュータにのみインストールすることが認められています。ただし、Office 2003 がインストールされたコンピュータを使用する特定の1人が専用に使用するという条件において、別のノート型コンピュータなどの携帯用デバイス1台に、インストールすることが認められています。「携帯用デバイス」とは、形状の問題では無く、携帯の用途として使用するコンピュータを指しています。
2台のコンピュータがともにノート型コンピュータの場合は、使用する人が特定の1人に限られており、かつ主に使用するコンピュータと携帯用のコンピュータであれば、インストールは可能です。2台以上のデスクトップ型コンピュータへのインストールや、不特定の人が使用したり、携帯用ではない2台のノート型コンピュータへのインストールは、認められていません。
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皆さまの組織で部門ごとにソフトウェアを購入されている場合、こんなことが行われていないか、ぜひ確認してみてください。

パイロット運用対象範囲決定のまとめ

SAM運用は、まず対象とする部署・組織を決め、そこでの運用が軌道に乗った段階で本運用していくことで、大幅な後戻り作業を防ぎ、全体での円滑な運用の近道となります。パイロット運用の対象部署には、SAM導入が会社としての決定事項であることのほか、先行導入では課題を洗い出す意味もあることを伝え、協力を依頼することが必要です。

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