SAMの対象範囲を決める② 〜ハードウェア・ソフトウェア・ライセンス関連部材編〜

SAMの対象範囲を決める②〜ハードウェア・ソフトウェア・ライセンス関連部材編〜

本運用に先駆けて、SAMをパイロット運用するソフトウェア・ハードウェア範囲を決める

SAMをパイロット運用する部署を決めたら、ソフトウェア、ハードウェア、その他関連する資産の範囲を決めます。所有しているすべてのソフトウェア、ハードウェアがSAMの対象となります。しかし、部署・組織でパイロット運用を行うのと同様に、適切な範囲を選定したパイロット運用を行うことが、円滑なSAM運用には欠かせません。そこで出てきた想定外の課題を解決し、ルールの変更を行いながら、パイロット運用している部署内で対象範囲を徐々に拡大し、本運用に備えましょう。

パイロット運用の対象とするハードウェア決定のポイント

ハードウェア数が把握できていない状態でソフトウェア数を算出しても、数値の根拠を対外的に証明することができません。そのため、組織で保有するハードウェアを正確に把握することが必要です。SAMの対象となるハードウェアは、PCやサーバーだけでなく、ソフトウェアをインストールできるものや、ライセンスがバンドルされている機器となります。どこまでを管理対象とするのかは、コンプライアンスリスクや情報セキュリティリスクなど、SAM未実施での組織におけるリスクアセスメントを考慮して決定します。

パイロット運用の対象部署には、SAMの対象機器を明示することが必要です。しかし、どこまでを対象とするかの選定は難しく、SAMを推進しようとされている皆さまにとって課題の一つではないでしょうか。どうしても対象範囲を決めかねる場合には、現場で運用してもらったときに、問い合わせが多かった事項についてどこが説明不足だったのかを検証し、後から対応していくという方法をとることもできます。

ソフトウェアを実行できる機器を選ぶ

PCやサーバーなど、ソフトウェアをインストールして実行することが可能な機器は、SAMの対象機器となります。しかし、MacなどWindows以外のPCが組織内に存在する場合、どのようにインストールしているソフトウェアを調べることができるのかということついても検討が必要です。

また、一見PCとは思えない装置に組み込まれたPC(製造・検査装置や医療機器などに接続された業務用端末)など、パイロット運用の対象とするか否かの検討も必要です。対象とした場合、しなかった場合、それぞれに課題を整理しておきましょう。

ただし、SAMの本運用時には、OSがインストールされ、汎用的なソフトウェアが動作するPCは、すべて対象にしなければなりません。例えば、プリンターにフォントをインストールして使用している部署は、プリンターもSAMの対象となります。

ライセンスがバンドルされている機器を選ぶ

使用しているソフトウェアの定義は、「実行できる機器にソフトウェアがインストールされ、使用しているもの」です。「使用しているソフトウェア」には、個別に購入したソフトウェア以外に、外付けのHDDやDVDなどの周辺機器購入時に付属しているソフトウェアがあります。それらを“インストール済み”であれば、「使用しているソフトウェア」ということになります。“インストールしていない”場合でも、ライセンスを保有しているため、ライセンス管理台帳に記載する必要があります。

業務で私物PCの使用を認めている場合に留意すること
業務効率アップやコスト削減といった観点から、日本でも従業員が私物のPCを組織内に持ち込んで業務に活用するBYOD(Bring Your Own Device)を取り入れる企業の取り組みが話題になっています。
会社が業務で私物PCの使用を認めている場合、業務に必要なソフトウェアが正規品でなければ、会社に管理責任が問われる可能性があります。私物PCだからといって、SAMの対象外ということにはなりません。私物PCの使用を認め、ソフトウェアを業務のために使用している場合、適切にソフトウェアライセンスを取得していることが必要で、ソフトウェアを管理することも必要です。

パイロット運用の対象とするソフトウェア決定のポイント

組織全体で所有しているソフトウェアは、業種や規模によって差はありますが、膨大な数に上ります。SAMの対象となるソフトウェアは、有償、無償にかかわらず、著作権者の使用許諾条件に同意してハードウェアに導入するプログラムまたはデータです。本運用時にはすべてのソフトウェアが対象となりますので、パイロット運用時からすべての情報を取得しておき、その中から、確認するものを限定するという方法も一つの手段です。

ハードウェアに導入された実行可能なソフトウェアを選定する(以下のいずれかに該当するもの)

  • OS、アプリケーション、ユーティリティー
  • 「アプリケーションの追加と削除」「プログラムの追加と削除」「プログラムと機能」に表示されるもの
  • 有償、無償にかかわらず、特筆すべき使用許諾条件が付されているプログラムまたはデータ(フォント、素材集、地図データなどを含む)

SAMを実施しなかった場合の無駄を考慮する

例えば、実際にはライセンスが余っているにもかかわらず、実態が正確に把握できていないため、頻繁にソフトウェアを追加購入しなければならないなど、そのソフトウェアにSAMを適用しなかった場合のリスクを想定して選びましょう。無駄なソフトウェアを購入することがなくなり、コストの抑制につながります。

ライセンス契約を含めた購入形態

ライセンス購入しているソフトウェア、パッケージ購入しているソフトウェア、それぞれを選定するソフトウェアに含めましょう。

パイロット運用の対象とするライセンス関連資産を決める

組織内に導入されているソフトウェアを統制するためには、ライセンスの保有を証明するために、ソフトウェアを導入するための媒体(ライセンス関連部材)を管理することが必要です。対象となるのは、ソフトウェアベンダーが規定している保有条件を満たすライセンスに付属する媒体、ライセンスを持たない導入専用の媒体です。具体的には、CDやDVDなどの導入媒体や、ライセンス証書、CDキー、パッケージなどが該当します。

こんな失敗していませんか?
ソフトウェアインストール後、CDとライセンス証書のみ保管し、かさばるパッケージは捨てている。

なぜNGなのか
パッケージには、使用許諾を認可するシールが貼られていたり、裏面に使用許諾契約書が記載されていることがあります。そのような場合、パッケージの破棄により、ライセンスの保有を証明することができません。

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