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Sky株式会社

公開日2025.01.28

Android Enterpriseとは何? 導入方法や費用・機能を徹底解説

著者:Sky株式会社

Android Enterpriseとは何? 導入方法や費用・機能を徹底解説

Android Enterpriseは、企業や学校がAndroid端末を効率的に管理するための包括的なモバイルデバイス管理プラットフォームです。このプラットフォームでは、Android端末をリモートで管理し、業務に必要なアプリケーションやデータを各端末に安全に提供することが可能です。また、完全デバイス管理、専用デバイス管理、仕事用プロファイルといった多様な管理方法を提供しており、企業のニーズに応じて柔軟に運用できます。 ここでは、Android Enterpriseの導入方法や費用、機能などについて詳しく解説します。

Android Enterpriseとは

Android Enterpriseは、Androidを搭載したスマートフォンやタブレット端末を企業や学校で利用する際に、これらデバイスを包括的に管理することができるプラットフォームです。Google社が提供するこのプラットフォームは、管理者がデバイスの設定やアプリケーションの配布、セキュリティポリシーの適用などを一元管理できるように設計されています。Android Enterpriseを活用することで、Android端末をリモートで管理し、業務に必要なアプリケーションやデータを安全に提供することが可能になります。

さらに、BYOD(Bring Your Own Device)やCOPE(Corporate-Owned, Personally Enabled)といったデバイスの運用方法をサポートしており、企業のニーズに応じた柔軟な活用が可能です。業務用と個人用のデータを分離する機能により、プライバシーを保護しつつ、最新のセキュリティ対策を維持できるため、業務の生産性向上に適しています。Android Enterpriseは、企業がAndroid端末を効率的・効果的に管理するための強力なツールになります。

Android Enterpriseによる管理方法

Android Enterpriseでは、管理対象となるデバイスに応じて柔軟な運用が行える管理方法を複数用意しています。ここでは、「完全デバイス管理」「専用デバイス管理」「仕事用プロファイル」の3つの管理方法についてご紹介します。

完全デバイス管理(Full device management)

「完全デバイス管理(Full device management)」とは、会社が所有するデバイスを業務でのみ使用する場合に適した管理方法です。会社が従業員などに貸与するAndroid端末を詳細に管理し、セキュリティ強化と徹底した情報管理を実現できます。

この管理方法を活用することで、「デバイスセキュリティ」「アプリの管理」「デバイスの管理」などの多岐にわたる機能をリモートで効率的に実行することが可能になり、セキュリティの強化と業務効率の向上を実現できます。主な機能については、以下のとおりです。

デバイスセキュリティ

「デバイスセキュリティ」ではセキュリティを強化するために、デバイスのロック解除に必要なパスワードポリシーを設定できます。また、リモートでデバイスのデータを完全に消去(ワイプ)したり、端末をロックする機能が提供されており、万が一の紛失や盗難時にも迅速に対応できます。情報セキュリティ対策を適切に行うことで、不正アクセスやデータの漏洩を未然に防ぎ、企業の機密情報を安全に保護します。

アプリの管理

「アプリの管理」では、企業のポリシーに基づいて、Android端末上のアプリケーションのインストール、更新、削除などがリモートで行えます。管理者は業務に必要なアプリケーションのみを選んでAndroid端末に展開でき、不要なアプリケーションの使用を防ぐことができます。これにより、業務の効率化とセキュリティの向上を図ることが可能です。

デバイスの管理

「デバイスの管理」では、Android端末の登録、設定、監視を一元的に行います。具体的には、アプリ実行時の権限リクエストに対するポリシー設定や、位置情報・Wi-Fi設定、画面キャプチャやカメラの無効化、リモートでの再起動などを管理者が行えます。組織で利用するデバイスが適切に運用されるように、効率的に管理することができます。

専用デバイス管理(Dedicated device management)

「専用デバイス管理(Dedicated device management)」とは、完全デバイス管理の機能を拡張し、特定の業務での仕様を目的とした専用デバイスを管理するための方法です。

この管理方法では、Android端末の「キオスクモード」や「シングルアプリモード」といった機能を使って、従業員がデバイス上で特定のアプリケーションや機能だけを使えるように制限できます。企業はAndroid端末を特定の目的に絞って使用し、セキュリティのリスクを最小限に抑えることが可能になります。従業員は業務に必要なアプリケーションだけを使うことで、業務に集中することが可能になります。

専用デバイス管理は、小売業における在庫管理端末やPOSレジ端末、物流での配送追跡端末、病院などの患者情報管理端末などの専用用途に特化した端末を管理する際に活用されます。

仕事用プロファイル(Work profiles)

「仕事用プロファイル(Work profiles)」は、従業員のAndroid端末を管理しながら、個人のアプリケーションやデータに影響を与えることなく、仕事用のアプリケーションを使用できるように設計された管理方法です。

個人用と仕事用のデータを同じAndroid端末上で安全に分離することが可能で、従業員はプライベートと仕事の時間を明確に分けることができます。そのため、従業員は個人のプライバシーを保ちながら、企業のデータを端末上で安全に取り扱うことができるといえます。

さらに、仕事用プロファイルは、企業がBYOD(Bring Your Own Device)を導入する際にも非常に有効です。従業員が自分のAndroid端末を仕事に使用する場合でも、企業のデータと個人のデータを分離することで、セキュリティリスクを最小限に抑えられます。

Android Enterpriseの利用料金は?

Android Enterpriseは、無料で利用できます。企業は導入時の初期投資や追加のライセンス費用を負担することなく、Android端末の管理やセキュリティ機能を活用できます。コストを抑えながら従業員の端末を一元管理でき、セキュリティを強化することが可能になります。

ただし、Android Enterpriseを最大限に活用するためには、Android Enterprise だけでなく、MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)ソリューションとの併用が必要となります。MDMソリューションの料金は、各ベンダーによって異なります。

Android Enterpriseの導入手順

Android Enterpriseを導入するためには、どのようなステップで進めれば良いのでしょうか。ここでは、以下の3つの手順に分けて導入方法について説明します。

  • 利用端末の選定
  • Android Enterprise利用申請
  • Android Enterprise対応MDMの導入

利用端末の選定

Android Enterpriseを導入する際は、まず利用するAndroid端末の選定を行います。選定するAndroid端末は、セキュリティ更新やOSアップデートが迅速に提供されるAndroid Enterprise Recommendedプログラムに準拠していることが望ましいとされています。このプログラムに準拠している端末は、特にセキュリティ面での信頼性が高く、最新の脅威に対しても迅速に対応できることが大きなメリットとなります。

選定時は、業務に必要な機能や性能を満たしているかどうかの確認も不可欠です。例えば、処理速度やバッテリーの持続時間、画面の大きさ、解像度などをチェックし、業務に支障なく利用できるAndroid端末を選ぶことをお勧めします。

ほかにも、現場での使用頻度が多い場合や過酷な環境での使用が想定される場合は、端末の耐久性も重要な要素となります。長期的に安心して利用できる端末を選定するためには、メーカーや販売元が提供するサポート体制の充実も重要なポイントです。業務で継続的に利用できる安心感を確保するためにも、万が一のトラブル発生時にも迅速に対応してもらえる端末を選ぶことが大切です。

Android Enterprise利用申請

次に、Android Enterpriseの利用申請を行います。まずは、Google社の管理コンソールにアクセスし、企業用のアカウントを作成します。アカウントを作成した後は、Android Enterpriseの利用を申請し、必要な情報を入力します。申請時には企業のITポリシーに基づいた設定を行い、セキュリティやプライバシーの確保を徹底することが重要になります。

申請が承認されると、企業専用の管理ポータルが利用可能になります。このポータルを通じて、Android端末の管理やアプリケーションの配信、セキュリティポリシーの設定など、利用者のニーズに応じた柔軟な管理ができるようになります。

Android Enterprise対応MDMの導入

最後に、Android Enterprise対応のMDM(モバイルデバイス管理)を導入します。MDMは、企業のモバイル端末を一元管理し、セキュリティポリシーの適用やアプリケーションの配布を効率的に行うためのツールです。導入するMDMはAndroid Enterpriseに対応していることが必須であり、企業ごとのニーズに合った機能が用意されたツールを選定します。

導入後は、管理対象となるAndroid端末の登録やポリシーの設定を行い、業務に必要なアプリケーションを各端末に配布します。MDMを導入することで、Android端末をより安全かつ効率的に運用することが可能になります。

Android Enterpriseの導入は必要か

企業におけるスマートフォンの業務利用が進み、モバイルデバイス管理の重要性が増すなか、Android Enterpriseの導入は多くの企業にとって有力な選択肢となっています。

これまでにご紹介してきたように、Android Enterpriseにはセキュリティと運用管理の両面で優れた機能を持っており、Android端末が紛失したり盗まれたりした場合でも、リモートでデータを消去できるなど、情報漏洩のリスクを低減できます。また、アプリケーションのインストールを制限したり、端末を一元管理したりすることが可能で、管理者の負荷軽減や従業員の生産性向上にもつながります。

また、企業ごとの運用スタイルに応じて、端末の利用ポリシーを柔軟に設定できるため、さまざまな業種や業態で活用しやすいのもポイントです。特にBYODを導入している企業にとっては、デバイス内の個人データと業務用データの分離が可能となり、プライバシーとセキュリティを両立させた運用が可能になります。

まと

今回は、Android Enterpriseの機能概要や、完全デバイス管理、専用デバイス管理、仕事用プロファイルといった多様な管理方法、導入時の手順などについてご紹介しました。Android端末の業務利用におけるセキュリティの強化、効率的な管理、生産性の向上、コスト削減を同時に実現できるなど、多くのメリットをもたらすAndroid Enterpriseについて、導入を検討される際に本記事の内容がお役に立てば幸いです。