のみぞうのちょっと一息しませんか?サイバー犯罪仮想体験ツールで学ぼう!

情報システム部門で日々奮闘している皆さんに向けて、お仕事の合間にふっと肩の力を抜いて読めるような、だけどちょっとだけ役にも立つかもしれないコラムをお届けいたします。
合同会社SecuLeap 代表
野溝 のみぞう 氏
デザイナー・プリセールス・エンジニア・カスタマーサクセス……数々の職を転々としたものの、とある情報漏洩事件をきっかけにサイバーセキュリティ業界に落ち着き、本を書いたりイベントを開いたりしています。CISSP、情報処理安全確保支援士(第027975号)、ネットワークスペシャリスト。
皆さん、「自分は詐欺には引っかからない」と思っていませんか? 私もそう思っていました。でも、あるツールを体験してみたら、その自信がちょっと揺らぎました。今回は官学連携によって開発された「サイバー犯罪仮想体験ツール」をご紹介します。
仮想体験ツールで学ぶニセ警察詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺等【令和7年8月】
詐欺の手口を安全に体験できる
このツールは、実際の詐欺の手口をLINE上で疑似体験できるというものです。スマートフォンでQRコードを読み取ってLINEで友だち追加するだけで、誰でもすぐに始められます。どれも「まさか自分が……」と思うような、リアルなシナリオが用意されています。
ニセ警察詐欺
警察官を名乗る人物とのやりとりや、偽の逮捕状・偽サイトなどの実際の手口
SNS型投資詐欺
バナー広告をきっかけに始まる、巧みな投資話の流れ
SNS型ロマンス詐欺
海外在住を名乗る異性からのメッセージのやりとり
闇バイト応募トラブル
軽い気持ちで応募した後に抜け出せなくなっていく過程
やってみて感じたこと
私も実際にいくつか体験してみました。特に印象的だったのはニセ警察詐欺のシナリオです。警察を名乗る相手から「あなたの口座が犯罪に使われています」と連絡が来て、本物そっくりの逮捕状や警察のWebサイトまで見せられます。冷静に考えれば怪しいのですが、LINEでテンポよくメッセージが来ると、つい相手のペースに乗せられてしまいそうになります。
SNS型投資詐欺のシナリオでは、最初に少額の利益が出る仕組みになっていて、「もう少し投資すればもっと増えるかも」という気持ちがどう芽生えるか体感できました。手口を知識として知っているのと、実際にやりとりの流れの中で体感するのとでは、理解の深さがまったく違います。
▼ ニセ警察詐欺体験ツール

全国に広がる取り組み
このツールは大阪府警察・香川大学サイバーセキュリティセンター・大阪府立都島工業高等学校の生徒さんが共同で開発したもので、現在では全国20を超える都道府県警察で活用されています。それだけ効果が認められているということですね。
その取り組みが高く評価され、サイバーセキュリティアワード2026では企画部門の最優秀賞を受賞しています。臨場感のある体験を通じて、必ずしもセキュリティに興味があるわけではない一般の方々にも学びの機会を届けているという点が評価されました。特に「自分は大丈夫」と思っている層にこそ届けたいという意図があるそうで、今回の企画はばっちりハマっているなと思います。
▼ サイバーセキュリティアワード2026

このツールは無料で使えて、専門知識も不要です。LINEの友だちに追加して「体験開始」のボタンをタップするとすぐ着信音が鳴って体験が始まりますので、そこだけ注意してください。例えば、社内のセキュリティ研修などで、座学の前に「まずは体験してみましょう」と案内してみるのはいかがでしょうか。「知っている」と「体感する」では、人の行動は変わります。自分自身の身を守るためだけでなく、ご家族に紹介してみるのもよいかもしれません。私も、さっそく母に紹介しました。詐欺の手口は年々巧妙になっていますが、手口を知っていれば「あ、これ体験したやつだ」と気づける可能性が上がります。
このほかにも、警察庁のWebサイトでは「警察庁推奨アプリ」が紹介されています。
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/apps/
(「SKYSEA Client View NEWS vol.108」 2026年5月掲載)