第7回川口 洋と語る! セキュリティ時事放談

情報セキュリティのプロとして、多くの組織のサイバーセキュリティに関わってきた株式会社川口設計 代表取締役の川口 洋氏が、今会いたい人を招いて、その人物にフォーカスを当てながら、セキュリティについて語り合います。

株式会社川口設計
代表取締役 / CISSP / CEH
川口 洋 氏
2002年 大手セキュリティ会社に就職。社内のインフラシステムの維持運用業務ののち、セキュリティ監視センターに配属。2013年~2016年 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)に出向。行政機関のセキュリティインシデントの対応、国民向け普及啓発活動などに従事。2018年 株式会社川口設計 設立。「Sky脆弱性報奨金制度」を監修。

セキュリティリサーチャー
piyokango 氏
インシデントや脆弱性など、セキュリティ事象のファクトをひたすら追い求めるセキュリティインコ。ブログや講演、執筆など15年以上セキュリティ情報の発信や共有に取り組んでおり、最近ではPodcast「セキュリティのアレ」や脅威情報分析チームLETTICEへの参加など、活動の幅を広げてより必要とする多くの人へリーチすべく継続中。
【第7回】
生成AIでどう変わった?
セキュリティリサーチャーのリアルに迫る!
セキュリティリサーチャーの
日々の情報収集に、セキュリティ情報ブログ「piyolog」を活用されているセキュリティ担当者は多いと思います。今回は、同ブログを運営するセキュリティリサーチャーのpiyokango氏にご登場いただきます。サイバー脅威の最前線を見つめる同氏に「今、気になっていること」をテーマに、普段のブログとは少し違う視点で語っていただきました。
活動の主目的は、皆さんへ調べた情報を還元すること
川口氏
piyokangoさんとのエピソードで印象に残っているのは、今から十数年前、当時所属していた企業からNISC(内閣サイバーセキュリティセンター)※へ出向していた際にコラムを依頼したことです。まさか、日本政府の内閣官房に設置された組織のWebサイトに“piyokango”というハンドルネームでの掲載が許されるとは(笑) その後「サイバーセキュリティに関する総務大臣奨励賞」もpiyokangoとして受賞されましたね。
- 2025年7月、サイバー対処能力強化法等に基づき、NISCは「国家サイバー統括室(NCO)」に改組された。
piyokango氏
受賞の連絡をいただいた際はとてもうれしかったのですが、ご連絡をいただいた方にはハンドルネームでなければ頂戴するのが難しいとお伝えしました。
川口氏
“go.jp”のドメインは、日本国の政府機関、独立行政法人、特殊法人しか登録できません。そのWebサイトに “piyokango”として名前が出ているのは、驚くべきことですよね。
piyokango氏
逆に、いまさら実名を出したら皆さん誰だかわからないと思います(笑)
川口氏
現在の主な活動は、サイバーセキュリティに関する情報のリサーチですか?
piyokango氏
そうです。調べた情報を皆さんに還元するという活動の大枠は、セキュリティの世界に足を踏み入れた当時から変わっていません。約2年前からは、産官学連携の枠組みであるCYNEXアライアンス参画の組織より構成される脅威情報分析チーム「LETTICE」にも参加して、チームの関係者と情報共有や分析を行っています。
モチベーションは読者からのフィードバック
川口氏
piyokangoさんといえば、セキュリティ情報ブログ「piyolog」を思い浮かべる人が多いと思います。最初に投稿されたのが2009年ですね。始めたのは何かきっかけがあったんですか?
piyokango氏
当時参加したセキュリティ勉強会の主催者が、その場で得られた情報をアウトプットすることを推奨していたからです。そこで、私も勉強した内容をまとめて発信することにしました。それが「piyolog」のスタートです。
川口氏
その当時従事されていたのは、セキュリティとは関係ない仕事でしたよね?
piyokango氏
セキュリティとは別の分野のシステムエンジニアでした。しかし、システム開発をやっていると必然的にセキュリティを意識する場面があります。そこで、知識を得る目的で勉強会に参加した結果、この世界にどっぷり漬かることになりました。
川口氏
2011年から記事数が爆増していますが、セキュリティに関する大きなインシデントが次々に発生した時期と重なります。
piyokango氏
大手重工業メーカーや省庁関係など、私の興味関心が湧く事例が数多く発生した年ですね。以降、日本年金機構などのセキュリティ事故が続き、報道でも大きく扱われるようになっていきます。当時は、当事者から被害の実態を整理した情報が発信されることはほぼありませんでしたから、事実を知りたいという思いが今以上に募っていました。そこで、報道される情報を自分なりにまとめてみれば、全体像が見えてくるかもしれないと思いつきます。そうやって次々にまとめた結果、投稿数が増えていきました。
川口氏
私も過去の情報が必要になったり頭を整理したいときなど、「piyolog」をよく利用させてもらっています。情報をわかりやすくまとめていただいているので利用者としてはありがたいですが、作成するのは大変ですよね。
piyokango氏
見てくださった方からのフィードバックがモチベーションにつながっています。いただいたコメントがヒントになって、次回のテーマを決めることもありますよ。
川口氏
大量の情報を集めてピックアップされていると思いますが、そのプロセスが気になります。
piyokango氏
以前は、Webサイトの更新情報を収集するRSSリーダーを活用し、ひたすらチェックしていましたが、近年は情報量が激増していますから、すでに人間によるチェックは限界に来ています。情報の取りこぼしや勘違いが発生するリスクが高いため、現在はRSSリーダーの使用率がかなり減りました。最近は、Xやニュースメディアの記事、テレビや新聞記事が主な情報源です。
川口氏
XがまだTwitterだったころ、キーワードごとにフォローしている項目が大量の列になって並んだ画面を見せてもらったことがあります。
piyokango氏
Twitter時代はTweetDeck、現在はX Proですね。2026年3月の仕様変更で、最上位プランでなければ利用できなくなってしまいました。私は間違えてそのプランを契約していたので、変更による影響はありませんでしたが、ずっと最上位プランを契約し続けるのは負担が大きいのでどうしようかと(笑) 現状、Xから情報を入手するのであればほかに代替手段がなく、使い続けざるを得ません。それが目下の悩みです。
川口氏
まさにロックインですね。
piyokango氏が運営するセキュリティ関連のまとめサイト「piyolog」

「piyolog」はこちら https://piyolog.hatenadiary.jp/
リサーチャーが実践 生成AIの便利な活用法
川口氏
AIエージェントを作って活用したりはしないんですか?
piyokango氏
実は3、4年前から使い始めていますが、現状はメインではなく省力化を目的として活用しています。例えば海外のニュースメディアをチェックする際、言語の違いから一見では頭に入りづらいことがボトルネックでした。そこで、日本語でわかりやすく成形・要約して教えてくれるエージェントを作成して活用しています。
このようにとても便利な生成AIですが、最近恐ろしいと感じるのが進化のスピードです。アップデートされたモデルが登場するごとに「これ、本当に生成AIが考えた? 人間じゃないの?」と思うほど大幅な精度向上がみられます。少し前であれば、LLM(Large Language Models)に対して、とても丁寧に命令しなければ求めている答えにたどり着けませんでした。ところが、最近では「○○よろしく」程度の雑な命令でも70点はつけられるくらいの答えを返してくるようになっています。リサーチャーの仕事が要らなくなる日も近いのでは? と思うほどです。
川口氏
これまで一番便利だと感じた生成AIの活用法は何ですか?
piyokango氏
やはり情報の入手です。単純なことですが、インターネットへのファーストアクセス先が検索エンジンから生成AIに変わりました。とはいえ、結果を100%信用するわけにはいきません。自分で調べてみる必要もありますから、“ググる”ことも継続中です。また、ひとまず書き上げた文章には、誤字脱字や矛盾点、理路整然としていない箇所があり、そのままでは公開できないため、ブログ記事のレビューにも活用しています。生成AIに「あなたは編集デスクです。この記事をチェックしてください」と指示すると、そこまで指摘してくれなくてもいいのに…… と思うくらいチェックを返してくれます。
とにかく「わからないからAIを使わない」という選択は、セキュリティリスクにつながり危険です。数年前までAIによる脅威の中心は偽情報などでしたが、今ではこれまで私たちが守ってきたセキュリティ領域まで直接的な脅威が及んでいます。AIの専門家でなくても、実際にAIを利用して「何ができて、何ができないのか」を肌感覚で理解しておかなければ、適切なリスクアセスメントや脅威分析を行うことは困難です。

単純に呼びかけるだけでは伝わらない危険性
川口氏
リサーチによって得られた情報を、何らかのプロジェクトに活用するような活動に関心はありませんか?
piyokango氏
私自身、皆さんに直接呼びかけるのが得意な方ではありません。そのため、リサーチによって得られた情報をサイバーセキュリティに関する注意喚起に尽力されている方々に活用していただけることがうれしく、基本的には今後も同じポジションでいたいと考えています。しかし、単純に呼びかけるだけでは危険性が伝わらない現状を、どうしたら変えることができるだろうと日々悩んでもいます。
命に関わるレベルの台風や地震などの自然災害が発生した際、“伝え方”が以前とは変わりましたよね。体系的に標準化されているため、高台に避難しなければいけないなど、従来よりも視聴者が次のアクションを起こしやすくなりました。テレビ番組であれば、放送局が異なっていてもアナウンサーの伝え方はほぼ同じです。
一方セキュリティの場合、伝え方は発信者により異なり標準化されていません。受け手が情報をそしゃくして内容を読み解く必要があるため、解釈できなければ行動に移せない状況が続いています。近年多発した医療機関での被害は、判断するための情報がセキュリティ担当者はもとより経営層に伝わっていないことが一因だと思いますから、情報を届ける仕組みを本気で考えていくべきタイミングではないでしょうか。これについては、私も積極的に発信していかなければと考えています。
川口氏
理想は“piyokangoのサイバー天気予報”みたいな感じですか?
piyokango氏
そうですね。多くの人は天気図を渡されただけでは、明日は傘を持って行くべきなのかを判断するのが難しいはずです。セキュリティも同様で、脆弱性の深刻度を表すCVSSのスコアを見ても、次のアクションを起こせる人は多くありません。国内のランサムウェア被害の場合、侵害原因の多くはVPNの脆弱性を放置するなど適切な運用がされていなかったことだと判明していますが、なぜかVPNをやめるという議論になりました。しかし、問題の本質はそこではありません。情報の渡し方や注意喚起のやり方を間違えれば、VPNと同じように本質とは違う議論にすり替えられてしまう可能性があります。
注意を呼びかける際に重要な2つのポイント
piyokango氏
私が考える注意を呼びかける際のポイントは2つです。一つは、多くの人にとって共通の縮尺となる数字の活用。もう一つは被害実態の把握です。数字を活用した注意喚起は「先週は10件の攻撃が報告されました」のように、それほど難しくありません。難しいのは、被害実態の把握です。被害に遭った組織の多くが詳細な情報の公表を控えるため、私たちが実際の事例から学びを得ることを難しくしています。当事者から公表されるのは、ほとんどのケースで「被害に遭いました」「情報流出の可能性については現在調査中です」「申し訳ございません」この3点だけです。
私が確認した範囲では、2025年に発生したセキュリティインシデントは約550件。その公表内容についての回答を見てみると、何が起こったのか、どのような手口であったのかなど、第三者が理解できるレベルに達しているのは約4割にとどまっています。さらに気になるのは、公表する組織が減っていることです。セキュリティインシデントが発生した際「情報の非開示」を選択する企業が増えていることで、社会全体に教訓が蓄積されない“負のスパイラル”が生じています。被害企業がSNS等でのバッシングを恐れて情報を最小限に絞るのはやむを得ない側面もありますが、結果的に同様のインシデントが繰り返される原因に。やはり、社会全体として望ましくない状況です。
川口氏
個人情報が漏洩した場合、個人情報保護委員会への報告が必要です。つまり、少なくとも個人情報保護委員会には情報が集まっていますから、詳細な情報が公表されることに期待したいと思いました。
piyokango氏
実は公開されている資料はあります。内部に侵入された理由などが結構生々しく書かれており貴重な情報ですが、現状はその存在が知れ渡っていません。今後、国家サイバー統括室(NCO)などと連携して、集まっている情報を必要な人に届けてもらえることに期待したいですね。
川口氏
「情報セキュリティ事故対応アワード※」の審査委員を務められているのも、そういった思いからですか?
- セキュリティ事故後の対応が素晴らしかった組織を表彰するイベント
piyokango氏
そうですね。被害に遭った組織の対策が十分ではなかったと追及するのではなく、その後の取り組みや発信内容を多くの方に知ってもらうことに意味があると考えています。事故が起きてしまったことと、その後の対応は切り離して評価したいという思いです。被害が発生した経緯だけでなく、事後対応の良かった点について知ることは、同様の被害を受けた際の素早い復旧に役立ちますから。
自組織に役立つのは事後対応の先例を知ること
川口氏
情報セキュリティ事故を公表した組織の中で、特に報告内容が優れていると思う事例はありますか?
piyokango氏
教訓にしやすい報告内容という視点で選ぶなら、2025年10月にランサムウェアによる被害が発生した自動車部品メーカーの事例です。原因について詳細に公表されているだけでなく、報告内容は発生前の状況説明から始まっています。そもそも、侵入されても拡散を防ぐことができれば被害は拡大しません。侵入される前の状況を知れば、「だから発生してしまったのか」と気づくことができます。
知りたい立場から感じる現状の課題は、必要な情報を公開してくれる組織が極端に少ないことです。第三者委員会が立ち上がって調査報告書が公開されるようなケースでなければ、求めている情報を得るのは容易ではありません。先の自動車部品メーカーのように自ら詳細に報告してくれる事例は貴重です。
川口氏
2025年にランサムウェアの被害に遭った大手通販企業も、プレスリリースや自社のWebサイト等で頻繁に情報を公開されていました。
piyokango氏
大手企業が多くの情報を素早く公開するというのは、これまでほとんどなかったような気がします。被害の発生を減らすためにも今後はスタンダードになってほしいですね。
川口氏
医療系の事例では、第三者委員会が発足して報告書が公開される例が多いですよね。しかも、かなり赤裸々な内容が書かれています。
piyokango氏
近年では病院がランサムウェアによる被害を受けた場合、徳島や大阪の病院で発生したインシデントを教訓にできていないと判断されると、厳しく糾弾される傾向にありますね。なぜ起きてしまったのか、障壁になっている問題を明らかにするため、構造的な問題に踏み込んだ分析が必要だと思います。
川口氏
2024年にランサムウェアの被害に遭った岡山県の病院の調査報告書で興味深いのは、徳島と大阪の病院の調査報告書を担当者は読んでいたが「経験のない者にはシステム担当者や電子カルテベンダーといえど理解が容易ではなく、対策がつい遅れがちになっていた」と書かれていることです。これを見て、病院経営者は2病院の調査報告書をご覧になったのだろうかという疑問が浮かびました。セキュリティ対策強化のために、新たなサービスを契約しようとすればコストが発生しますから、セキュリティインシデントに関する調査報告書は、予算の最終的な決定権を握っている人にこそ見ていただく必要があります。
piyokango氏
最終的に判断する人に情報が届かない状況を解消しなければ、同じことがいつまでも起こり続ける可能性が高まりますから、経営層の皆さまには調査報告書をご覧いただきたいですね。
Sky株式会社からも質問してみました!
――2026年4月20日、JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)が国内企業のセキュリティ担当者らを対象に行ったランサムウェアによる被害についての調査が公開されました。被害に遭ったと回答した507社のうち、222社が身代金を支払ったという結果についてどのように感じていますか?
piyokango氏
支払いを勧める気持ちはまったくありませんが、被害に遭ったことを知られたくない、少しでも早く業務を復旧させたいという経営者の思いが表れた数字だと思います。特に中小企業では環境を新規で構築し直すとなれば、会社が倒れる規模の経費が必要になる可能性もありますから。
川口氏
1,107社から回答があったと書かれていますから、約20%が支払っているということですね。そもそも身代金の支払いは請求書が届くわけでもなく、相手の法人番号もわかりません。NDA(秘密保持契約)を結べない状況で支払うのは、非常に危険だと思います。
――調査結果には、身代金を支払った222社のうち、139社はシステムやデータが復旧できなかったという記載もありました。
piyokango氏
身代金を支払っても確実にデータが戻ってくるわけではありませんから、支払いは最終手段です。そして“支払った事実を公表される可能性がある”ことを支払う決断をする場合に考慮しなければなりません。日本では、支払ったことが対外的に支持されるのは、人命がかかっている場合などに限定されるでしょうから、公表された結果、企業経営に影響がないかも判断する必要があります。
川口氏
会計処理の問題がありますから、オーナー企業であればオーナーのポケットマネーから振り込まれていることも考えられますが、上場企業が同様の対応をするのは難しいですね。
piyokango氏
上場企業で身代金が支払われたといわれている2024年に発生した大手出版社の事例では、リークサイトをモニタリングしている人たちによって、盗まれた情報がSNSで公開されるという問題が発生しました。モニタリング自体は悪いことではありませんが、リークサイトで公開された情報のスクリーンショットをSNSに載せるという行為はもってのほかです。被害企業の混乱がピークに達しているなか、リークサイトに情報が公開された直後に、二次拡散のような仕打ちをするのは、インシデント対応そのものに影響を与える可能性もあります。これは、火事が起きている現場の写真を撮って、面白半分に騒ぎ立てるやじ馬とやっていることは同じです。私は、彼らのことを“サイバーやじ馬”と呼んでいます。法的に問題がなかったとしても、モラルを疑う行為です。
――相変わらず脆弱性を狙った攻撃が後を絶ちませんが、脆弱性対策が進まない問題点はどこにあると思われますか?
piyokango氏
公開された脆弱性情報を補足する、被害発生時の“事後対応に向けた情報”の少なさです。多くのベンダーが「脆弱性が見つかったため、パッチを適用してください」というレベルの情報にとどまっています。私たちが一番知りたいのは、影響範囲や脆弱性が悪用されてインシデントが発生した場合に、その後の調査や復旧をフォローするための情報です。本来、悪用が確認されている脆弱性に対しては、ベンダーが情報流出のリスクやセッションを無効化する必要性まで言及すべきですが、現状は極めて不十分だと言わざるを得ません。
――実際に悪用された脆弱性を確認する方法はありますか?
piyokango氏
米国のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA:Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)が作成・公開しているカタログ、KEV(Known Exploited Vulnerabilities)で確認できます。しかし、KEVに明記されているにもかかわらず、悪用の事実を自ら公表しているベンダーが少ない点は問題です。詳細な情報が発信されなければ、ユーザーは「パッチを当てたから解決した」と誤認しかねません。その結果、盗まれた情報がダークウェブ等で売買され、忘れた頃に不正アクセス被害が発生する恐れがあります。
例えば、VPNの脆弱性が悪用され情報が盗まれた場合、パッチを適用して脆弱性を解消しても、盗まれたセッション情報が有効なままであれば、攻撃者はパッチ適用後であってもその“生きた情報”を使って正規ユーザーになりすまし、容易に侵入することが可能です。ベンダーには、パッチの適用を訴えるだけでなく、既存のセッション情報はすべて削除するなど、具体的な対処方法も合わせて公開することが求められます。
インシデントが発生した原因や背景に注目してほしい
~piyokango氏からのメッセージ~
~piyokango氏からの
piyokango氏
多くのセキュリティインシデントが公開されている今、記憶がどんどん上書きされ情報が流れてしまった結果「そういえばあんなことあったな」くらいしか覚えていない方が多いのではないでしょうか。しかし、それぞれの事例には発生した原因や背景があります。そこにしっかりと目を向けるだけで「どこかの組織が被害にあった」にとどまらず、自組織に置き換えて対策にも生かしていけると思います。被害組織で起こったことに注目してください。
(「SKYSEA Client View NEWS vol.109」 2026年7月掲載 / 2026月年4月取材)
撮影場所:WeWork 日比谷パークフロント