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Sky株式会社

AIで加速する非エンジニアの業務変革Geminiが導く効率化とセキュリティの両立

著者:Sky株式会社

Geminiが導く効率化とセキュリティの両立

Sky株式会社は、国内におけるAI活用をリードする企業を目指し、自ら「最もAIを活用する企業」となるべく、その推進に取り組んでいます。皆さまの組織でも、AI活用の広がりを実感されているのではないでしょうか。本号では、日常やビジネスに浸透する生成AIのメリットを引き出すポイントと、安全に活用するために押さえておきたい観点をご紹介します。日本のAI研究をけん引する第一人者の一人である中部大学 藤吉 弘亘 教授が、AI エージェント プラットフォーム「Gemini Enterprise」を提供するGoogle Cloud Japan AI 事業本部長 藤井 俊平 氏に話を聞きました。

藤吉 弘亘 氏

中部大学 理工学部 AIロボティクス学科 教授 博士(工学)

藤吉 弘亘 氏

1997年、中部大学大学院博士後期課程修了。米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所Postdoctoral Fellow(1997年)、中部大学工学部情報工学科講師(2000年~)、同大学准教授(2004年~)、米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所客員研究員(2005年~2006年)、中部大学教授(2010年~)。コンピュータービジョンの研究に従事。

藤井 俊平 氏

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 AI事業本部 本部長

藤井 俊平 氏

Google Cloud JapanのAI事業本部長として、日本市場におけるAIのGo-To-Market戦略をリードし、お客様のビジネス変革を支援しています。Gemini Enterpriseの導入などを通じ、エンタープライズにおけるAIによる新たな価値創造と収益向上に貢献しています。これまでのキャリアでは、国内大手IT企業、外資系小売企業、ベンチャー企業においてSI事業、システム開発、EC事業、生成AI事業などに携わりました。特に海外駐在経験に裏付けられるグローバルでの新規事業開発ノウハウを用いて、日本のエンタープライズのクラウドテクノロジーを利用した事業開発、経営変革を支援します。

SKYSEA Client View コラムサイト編集部

Sky IT TOPICS編集部は、40年以上にわたりソフトウェア開発を手掛けるSky株式会社の知見を基に、AIやDX、ソフトウェア開発などIT全般に関する情報を発信しています。Sky株式会社は、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど自社商品の開発・提供を通じて得た知見をきっかけに、端末運用・情報資産管理・ログ活用、さらにマルウェアやランサムウェアなどの脅威を踏まえた運用設計とルール整備まで、製品と運用の両輪で現場に根付く対策を組み立てる強みを生かし、幅広い分野でのセキュリティ領域を展開しております。また、自社商品の一つ「SKYSEA Client View」は国内25,000社以上 / 1,300万クライアント以上にご導入いただいております。こうしたソフトウェア開発の豊富な経験、自社商品の導入実績に基づいてに、皆さまの実務に役立つ情報をお届けします。

多様化するAIモデル、Geminiの強みは
世界を人間のように捉えるマルチモーダル能力

藤吉氏

2025年11月に「Gemini 3」が正式発表された際、同時に公開されたベンチマーク結果で、生成AIブームの火つけ役となった「ChatGPT」を上回り1位を獲得したことが大きな注目を集めました。

藤井氏

GoogleのGeminiをはじめとして、各社がモデル開発を行う際には、当然ベンチマークの性能比較を意識します。それに加えて、Google Cloudが特にフォーカスしているのは、モデルそのものよりも複数のAIエージェントが互いに連携して自律的にタスクをこなす「エージェントエコシステム」の提供です。意外に思われるかもしれませんが、お客様への提案時には、ベンダーロックインにならないことを重視しています。

従来のシステムやソフトウェアは、あらかじめ決められた手順どおりでなければ動きません。そのため、人間がシステムの都合を理解し、システムに合わせて操作する必要がありました。一つの業務であっても、「顧客管理システム」「在庫管理システム」「会計システム」など複数のソフトウェアを横断しなければならず、作業が煩雑になることも少なくありません。しかし、AIが仲介役を担えば、複雑な仕組みはAIが引き受けてくれます。今どのシステムを使っているのかさえ気にする必要がなくなり、人間の役目はAIにやりたいことを伝えるだけです。個別のシステムへ依存した結果、非効率になっていた状況から解放されます。

また、ベンチマークの性能数値以外にも、モデルごとに異なる得意分野を持っています。例えばGeminiであれば、人間のように情報を認識できる「マルチモーダル能力」です。画像、音声、動画など、複数の異なる情報を組み合わせて理解・処理する能力に優れています。各AIモデルの特徴を理解し、用途に応じて使い分けることで、生成AIのメリットを最大限に享受できます。

藤吉氏

企業がAIモデルを導入し、AIエージェントによる生産性向上を成功させるために重要なポイントは何ですか?

藤井氏

まず、企業内で活用を浸透させることです。ポイントは、トップダウンとボトムアップをいかに組み合わせるかだと思います。「Gemini Enterprise」を導入いただいている企業の多くで、これまで業務にかかっていた作業量や負荷をAIエージェントで代替することがトップダウンによって指示されています。これは非常に重要な意思決定です。一方で、現場のモチベーションが高くなければ成功に導くのが難しい側面もあります。Skyさんは、生産性向上に寄与したAIエージェント作成者に対して報奨金を出すイベントを実施されるそうですが、そういった取り組みは現場のやる気を引き出す方法として効果的だと思います。

藤吉氏

今後AIの導入で期待されるのは、事業拡大に向けた付加価値の創出です。実現には、非エンジニアの社員が生成AIを主体的に使いこなせる環境づくりが不可欠で、企業の明暗は効果的な育成施策を打ち出せるかどうかに懸かっています。他社の事例を参考にしたいと考える企業も多いと思いますので、Gemini Enterpriseを活用されている企業での主な活用例をお聞かせください。

藤井氏

お客様がすぐに実感される代表的な活用パターンは、「スライド作成の自動化」と「スケジュール調整の効率化」です。Geminiに搭載されたワークスペース「Canvas」を活用すれば、PowerPointやGoogleスライドでプレゼンテーション資料を自動生成できるため、ゼロからスライドを作成する必要がありません。構成の考案やデザインの調整などをAIが代替した結果、資料作成にかかる時間と労力が劇的に削減され、社員は顧客対応や戦略の立案に集中できます。営業職の方であれば、顧客管理システムに登録している過去の取引先情報と、GoogleドライブやSharePointなどに保存している既存の提案書を掛け合わせ、次回の商談を成功させる提案書の作成について相談。成果に結びつけられているようです。また、地味に時間を奪われがちな日々のスケジュール調整や変更作業も、Canvasに任せることで効率化できます。

しかし、最も期待されている導入効果は「経営への貢献」です。市場競争を優位に進めるために、製薬会社なら開発した新薬、自動車メーカーであれば新型車を市場に投入するスピードを速めるという経営課題に活用すれば、経営の根幹に対して本当の意味で良い影響を生み出すことができます。

藤吉氏

これまでのITの進化とは比較にならないほど、AIモデルの開発競争が熾烈を極めています。OpenAI社やAnthropic社など日本でもおなじみの企業はもちろん、中国のAI企業DeepSeek社は、最先端のAIに匹敵する極めて高い推論力を低コストで実現したことが話題になりました。こうした急激な市場の変化についての見解をお聞かせください。

藤井氏

Google Cloudは、優れたAIモデルの選択肢が増えることをむしろ歓迎しています。Google Cloudのプラットフォームで提供している「Model Garden」では、現在200種類以上のAIモデルが利用可能です。Anthropic社のClaudeやDeepSeek社のDeepSeekはほぼすべてのモデルをカバーしていますし、OpenAI社のモデルも一部お使いいただけます。確かに自社モデルのGeminiの開発という側面ではライバル関係といえますが、マルチモデルをサポートするGoogle Cloudのプラットフォームとしては、競合ではなく共存すべきパートナーだと考えています。

求めるシステムを非エンジニア自ら作る時代
AIエージェントで変わる業務の

藤吉氏

今、生成AIに関する話題は尽きません。一方で、企業での活用はエンジニアのためのものと考えている方もいらっしゃいますね。

藤井氏

生成AIの用途については、やはり多くの方がエンジニアリングをコアコンセプトと考えていると思います。Googleでもエンジニアリングでの活用率は高く、開発しているシステムの約75%がAIによる生成です。現状は自律的にコード生成や修正、テストまで行うエージェンティックAIにすべてを任せるのではなく、人間によるチェックもある程度含んでいます。

このような話をすると、やはりエンジニアリングとの親和性の高さを感じるかもしれませんが、実際には生産性の向上を目的に導入する企業が圧倒的です。例えば営業職に求められるスキルには、データの分析力やスライド作成力に加え、目的から逆算した論理的な構成力があります。高い能力が要求されるこれらの作業をAIエージェントに代替させれば、担当者のスキルに依存せず、経験が浅い社員でも簡単に処理することが可能です。

また、AIエージェントは現場の業務を把握している非エンジニアでも作成できるため、従来の非効率な作業の自動化に実務担当者が自ら取り組むことで、ビジネスの生産性と質を根本から変革できるメリットがあります。

藤吉氏

生成AIを活用すれば、実際に業務を行っている非エンジニアが“自分たちの求めているシステムを自ら作成できる”ということですね。

藤井氏

はい。例えば、データベース上のデータを利用する際、これまでは表計算ソフトウェアで複雑な関数を作成したり、CSV形式のファイルに変換したデータを別のツールにインポートするなどの面倒な作業が発生していました。今は、差分抽出用途のAIエージェントであれば、「ExcelのA列とB列を比較して、差分を抽出するPythonコードを書いて」とGeminiに伝えることで、目的を満たすエージェントが完成します。

さらにAIを解析に活用すれば「もっとこういうデータを集めた方がいい」など、人間が気づかなかった観点でのアドバイスが得られるメリットもあります。AIが一度に理解・処理できる情報量と、それを正確に扱うコンテキスト処理能力は、以前と比べ格段に向上していますので、業務の質を1段も2段も高めることが可能になりました。

藤吉氏

私のような研究職にとって、開発のプロセス全体を自律的に進行・完了できるコーディングエージェントは、単にコードを書いてくれるアシスタントとしてだけでなく、研究ライフサイクルの一部を委ねられる共同研究者として欠かせない存在です。この取材時点では、Anthropic社のClaude Codeが「最強のコーディング脳」を持つ自律型エージェントとして高く評価されていますが、それについてはどうお考えですか。

藤井氏

コーディング支援ツールに関しては、Geminiもターミナル上で動作するサービスをリリースしていますが、複雑なコード生成の精度においてClaude Codeが非常に高い評価を得ていることは承知しています。先にお伝えしたように、お客様にとって常にベストなモデルを活用していただくことを最優先に考えていますので、他社のモデルに優れた点があればそのとおりお伝えします。

藤吉氏

Anthropic社のClaude Codeで生成したコードを、Googleの「Antigravity CLI」やOpenAI社の「Codex CLI」でレビューすれば、さらに良い結果が得られるのではないでしょうか。

藤井氏

同感です。生成したコードを違うエージェントに読み込ませることで、別の観点からの評価が期待できます。

藤吉氏

エンジニアの皆さんの関心事は、Geminiの技術を基盤に開発された軽量で高性能なオープンモデル「Gemma」が、今後も提供され継続的にアップデートしていくのかだと思います。

藤井氏

Gemmaの開発は、私どもGoogle Cloudとは別の組織であるGoogle DeepMindが担当しているため、私から具体的な開発計画について直接お答えすることはできません。ただ、Googleは「openness(開放性)」を提供し続けることを極めて重視しています。「Google が掲げる 10 の事実」にも明記しているとおり、オープンソースソフトウェアの開発推進は私どもの重要な使命です。優れたイノベーションを、国境や地域を超えてあらゆる開発者の皆さまへお届けするためにも、Gemmaのようなオープンモデルの継続的な提供と進化は不可欠だと考えています。

藤吉氏

私が暮らす東海地区は、自動車産業をはじめとしてものづくりが盛んな地域です。工場に入れた機械は5~10年使い続けるのが当たり前ですから、AIの導入にはその間継続して利用できるモデルの存在が欠かせません。オープンモデルもその一つです。

藤井氏

IT環境で使用されるAIの大半がクラウド型です。インターネットを経由して、遠隔地の巨大なサーバーからの指示を待つため、返答には若干時間がかかります。一方、産業機械が導入されている工場などのOT環境では、一瞬の遅れが物理的なトラブルにつながるリスクがあります。そこで、瞬時に臨機応変な対応が取れるよう期待されるのが、ロボットやカメラなど端末自体にAIを組み込むエッジAIの導入です。今後AIロボティクスの分野では、即時性が求められる端末側の処理を軽量なGemmaが担い、過去のデータに基づく高度で複雑な意思決定をGeminiが担うといった、役割分担による効率的なエコシステムを設計・構築するシナリオの導入が想定されます。

内部・外部それぞれのセキュリティ脅威に
Gemini Enterpriseで挑む

藤吉氏

企業での生成AIの利用は、セキュリティの観点も重要なポイントです。生成したコードにサイバー攻撃の標的となるような脆弱性が含まれる危険性や、他者の著作物の侵害など負の側面も指摘されています。それらに対し企業が守るべき防衛線、ガバナンス体制についてはどのようにお考えですか?

藤井氏

これまでは、モデルの性能向上にフォーカスしてきましたが、セキュリティはすでに業界全体の重大なテーマです。AIエージェントが人に代わって業務を遂行するシナリオにおいて、データの入出力を定められたユーザー権限の範囲内に限定できるのか。また、次々とAIエージェントが実装されていく環境では、どうやって統一管理するのかという問題もあります。このような内部的な要素に加え、外部からの脅威への備えも必要です。

まず、権限の範囲内にアクセスを限定させるためには、2026年にリリースした「Gemini Enterprise Agent Platform」を活用する方法があります。稼働しているAIエージェントに対し、ほかとは重複しないユニークIDを割り振り、リアルタイムで挙動を監視・管理できる機能です。企業内に存在するエージェント数や、データやツールへのアクセス権を持っているかを可視化し一元管理できます。例えば、社員Aさんのエージェントが、本来Aさんがアクセスできない場所にあるデータを取りにいく指示を出したとしましょう。すると、エージェントゲートウェイがAさんには権限がないと判断し、ブロックします図1。いわゆるアクセス認証の基盤をベースに置いたやり方です。

図1 セキュリティとガバナンスの確保に有効な、入口と出口へのAgent Gatewayの配置

藤吉氏

これは非常に重要な仕組みですね。

藤井氏

さらに、社内に悪意を持った人物が存在するリスクへの考慮も必要です。本来はアクセス権限がない領域の情報であっても、プロンプトに細工を施すことで巧妙に引き出されてしまう危険性があります。このような内部脅威に有効なのが「Model Armor」です。悪意あるプロンプトを検知すれば、コンテンツの生成自体をブロックしますから、不正なデータ取得を防ぐことができます。

また、Model Armorは外部脅威に対しても有効です。外部からの攻撃は、主にシステムをだまそうとする悪意あるプロンプトとして侵入してきますので、プロンプトインジェクションなどの攻撃から保護します。

藤吉氏

まさにAIエージェントのためのサービスですね。このような仕組みがあれば、生成AIの導入に慎重になっている企業でも取り入れやすくなりそうです。

藤井氏

生成AIを安全に運用するための対策は、AI用の新しいセキュリティルールをゼロから作るのではなく、人間のための既存のルールをAIにも適用すると考えて取り組んでいただけたらと思います。

また、AIエージェントを次々に作成すると、いつの間にか乱立して新たなカオス状態を招く恐れがあります。複数のAIモデルとそれを利用する部署や人、多種多様な業務が複雑に絡み合う、いわゆる「エージェントスパゲティ」状態に陥りかねません。

「Gemini Enterprise」は、このように複雑化した環境を統制し、連携のハブとして機能します図2。そして、ユーザーが煩雑な管理を一切意識することなく、社内データベースやSFA、さらにはGoogle Workspace、Microsoft 365などのグループウェアとのコラボレーションを実現できます。

図2 エージェントスパゲティを生み出すシステムとデータの混在環境

参考:グーグル・クラウド・ジャパン合同会社から提供を受けた画像を基に、Sky株式会社が作成

AIのポテンシャルを最大限に引き出す
マルチエージェント時代のセキュリティ対策

藤吉氏

AIの存在が新たなインサイダーリスクともいわれますが、どのように対応すべきだとお考えですか。

藤井氏

直接的なデータ持ち出しリスクだけでなく、プロンプトへの入力自体が情報漏洩の経路になることを前提として、社内ルールや環境整備を進める必要があります。また、このような予防的な観点以外に、エージェント同士が自由に連携・活躍できる環境をどうつくるかという攻めの視点も重要です。これまでは、人間がAIに指示を出す1対1の関係でしたが、今後は「スケジュール調整AI」「メール作成AI」「社内データ検索AI」が自律的に通信して連携し合い、業務を完結させるマルチエージェントの時代が到来します。このような“AI同士のデータ通信”を、いかに安全に構築できるかは新たな課題です。

機密情報を外部のAIに渡してしまったり、誤った操作による暴走を防ぐためにはガードレールのような仕組みが必要になります。しかし「あのAIとは通信してはいけない」「このデータは渡せない」と厳しく制限し過ぎることで、エージェント間の連携を分断し、AI本来の利便性や生産性が損なわれてしまいます。目指すべきは安全性を確保しながら、AIのポテンシャルを最大限に引き出すことです。

藤吉氏

今の話にも関連しますが、Anthropic社の「Claude Mythos」のような、異次元のサイバーセキュリティ能力を持つ高性能AIモデル自体がサイバーリスクになり得る状況に対しての見解をお聞かせください。

藤井氏

ゼロデイ脆弱性を自律的に発見し、さらに悪用までできてしまう高度なAIモデルの出現により、サイバーリスクは新たなフェーズに入りました。「悪用リスクを想定した厳格なリリースチェック」をプロセスとして定着させなければ、AIの恩恵を安全に享受することはできません。

この取材の数日前に、米国政府が「最先端AIモデルを一般公開する際は、事前に政府への提供と安全審査を義務づける枠組みを検討している」と報道されました。もはや一企業で対応できる次元ではなく、今後は国や政府機関をはじめ、金融機関など重要インフラ企業ともパートナーシップを結び、リスクチェック体制を構築していくことが重要になります。

AIの活用で守りから攻めの情シスへ
業務プロセスを根本から変革するチャンス

藤吉氏

最後に、情報システム部門の方へメッセージをお願いします。

藤井氏

AIエージェントへのデータアクセスやセキュリティに対し、最も懸念を抱かれているのは、情報システム部門の皆さんだと思います。安全性の担保は最重要課題であり、導入にはある程度の試行錯誤も伴いますが、企業の業務プロセスを根本から変革する絶好のチャンスでもあります。AIを段階的に活用すれば、情報システム部門は従来の“守り”の役割から、直接利益を生み出す営業部など以上に高い生産性と利益を生み出す“攻め”の部署へと進化させることが可能です。

皆さまには「四半期賞」や「社長賞」などを取れるほどの大きな成果を出していただきたいと願っています。そして、SkyさんのSKYSEA Client ViewとGoogle Cloudの「Gemini Enterprise」を活用いただき、技術面から引き続き強力にサポートしていきたいと思いますので、ぜひご相談ください。

藤吉氏による取材後記

四半世紀ほどコンピュータービジョンを見続けてきたが、ここ数年の景色の変わり方は別次元である。コーディングエージェントに2019年の拙論を再現させたところ、ハイパーパラメーターを勝手に探索し、当時の精度をあっさり超えてきた。取材中、藤井氏から飛び出した「Googleではコードの約75%がAI生成」という数字には、驚嘆せざるを得なかった。一線の現場は、すでにそこまで来ている。もう一つ膝を打ったのが、藤井氏の口から出た「エージェントスパゲティ」という表現である。社内に1,000、2,000とエージェントが増殖し、誰一人として全体像をつかめない——だがこれは、人間の組織で散々見てきた光景でもある。役割を定義し、権限を整え、責任の所在を明確にする。AIエージェントの統治もまた、結局は人の組織を整える作法と地続きなのだ。AIエージェントは、ようやくDXを名実ともに成立させる武器になりつつある。それを使いこなす設計図を描くのは、いつの時代も人間の側の仕事である。

Google Cloud

Google Cloudは、AIインフラストラクチャー、Geminiをはじめとする先進的なモデル、データ管理、マルチクラウドセキュリティ、開発ツール、さらにエージェントやアプリなど、強力で最適化されたAIスタックを提供し、エージェント時代に向けた組織の変革を支援します。200 以上の国と地域で、信頼されるテクノロジー パートナーとして選ばれています。

(「SKYSEA Client View NEWS vol.109 2026年7月掲載 / 2026年5月取材)