脅威の進化で一変する世界ChatGPTだけではない、マイクロソフトのAI戦略
2022年11月に公開されたChatGPT。AIの研究開発を行う米国企業OpenAIが開発したこのチャットボットの自然な会話力には、多くの人々が驚かされました。その興奮冷めやらぬなか、OpenAIへの100億ドル(約1.3兆円)もの巨額投資や、検索エンジンMicrosoft BingへのChatGPTの搭載など、次々と世間を驚かせているのが世界最大手のコンピューターソフトウェア企業、マイクロソフトです。過去のブームとは違い、これからのAIは確実に私たちのビジネスにも大きな影響を与えることになるため、どのような戦略を打ち出されていくのか、日本マイクロソフト株式会社のご担当者にお話を伺いました。
日本マイクロソフト株式会社
Azure ビジネス本部 AI GTM Manager
小田 健太郎 氏
音楽ゲームパブリッシャー、フィンテック企業を中心にBtoC、BtoB両軸のマーケティング、プロモーション責任者として多くのサービスローンチを経験。2018年より日本マイクロソフトに入社、パートナーマーケティング、業界別の製品戦略リードを経て、2021年よりデータ分析・AI・機械学習製品のプロダクトマーケティングマネージャーとして、コアプロダクト「Azure AI」の国内戦略をリード。
Microsoft BingやMicrosoft 365 Copilotなど、AIを搭載した製品の発表やプレビュー版が次々とリリースされていますが、これだけ短期間に公開・実装されるスピード感に驚いています。
マイクロソフト製品にここまでの短期間でAIが組み込まれていくのを見るのは、私も初めての経験です。このところよくスタートアップ企業のようだといわれますが、確かに過去のマイクロソフトからは考えられないスピード感だと思います。
急にAIへのかじを切ったように感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、マイクロソフトにおけるAI研究のコミットには歴史があり、約30年前から始まっています。マイクロソフトの研究機関「マイクロソフトリサーチ」は、基礎研究や新たな知見、技術を得るR&D(Research and Development)の領域を担い、AIのアルゴリズムも研究してきました。その中には、Microsoft WordのスペルチェックやMicrosoft Teamsのノイズキャンセリングなど、AIが実装されている製品やサービスの自然言語研究も含まれます。
ChatGPTの発表後、ますます注目を集めているOpenAI社ですが、最近までマイクロソフト社とパートナーシップを結んでいることを知らなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
OpenAIのサービスが搭載されたマイクロソフト製品は、2023年2月に公開したAIを搭載した検索エンジン「Microsoft Bing」のプレビュー版が初めてだと思っている方は多いかもしれません。しかし、実は2021年ごろからOpenAIの言語モデル、GPT(Generative Pre-trained Transformer)シリーズが実装された製品・サービスをリリースしていました。残念ながら当時は精度や日本語への対応の問題から注目する人は多くなかったかもしれません。2022年半ばあたりから画像生成系のAIがオープンソース形式で公開されたことをきっかけに、注目されるようになりました。インターネット上でこれらのAIサービスが話題になり始め、2022年11月に公開されたChatGPTで一気にブレイクしたという流れです。マイクロソフトもAIモデルが実装された各種製品のプレビュー版を次々と公開しました。同時に、マイクロソフトのCEOサティア・ナデラが「すべての製品に、AI機能を搭載していく」と発表。AIへの投資が一気に加速しています。
グローバルに展開する大手IT企業のなかには、Google社のように自社で大規模言語モデル(LLM)やアルゴリズムを開発する企業もあります。マイクロソフト社はなぜOpenAI社との共同研究の道を選ばれたのでしょうか。
OpenAIとのパートナーシップに基づき、同社が新たなAI技術を商用化する際には、両社で協力してAzureのAIサービスを強化していけるなど、パートナーシップにはさまざまなメリットがあります。OpenAIは、人間のように思考する汎用人工知能AGI(Artificial General Intelligence)で人類に利益をもたらすことをミッションとしている企業です。もしほかの企業が先にAGIの開発に到達する場合には、市場競争をやめてその企業に協力するというユニークなポリシーを持っています。設立当初はOpenAIはNPO(非営利団体)でした。そのため、現在も営利だけでなく、このような非営利な面を持ち合わせています。この非営利な考え方の部分が、マイクロソフトのミッション「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」とリンクし、パートナーシップの締結につながったと聞いています。すでにさまざまな言語モデルの実装や統合が始まっています。
OpenAI社は、なぜマイクロソフト社を必要としたのでしょうか。
AIを高い精度で開発していくには、大規模な資源が必要です。機械学習モデルの重要な構成要素であるパラメータが大きくなればなるほどAIモデル(自然言語処理における単語や文章の関係性を定式化したもの)が精度が上がるため、各社はこぞってこのパラメータを大きくすることに注力しています。パラメータを大きくするためには、数百から数千のGPU(画像処理装置)が必要ですが、GPUは1枚が数百~数千万円もするため、自力で調達できる企業は限られているのが現実です。
ChatGPTのようなチャットボットは、大量のデータから学習することで、人間のような自然な対話が可能になります。しかし、それだけの情報を扱うための計算資源は、モデル自体を動かすだけでも極めて高額な費用が発生します。OpenAIは、マイクロソフトと連携して、Microsoft Azureを計算資源として開発することが可能になりました。
ChatGPTのインパクトが強すぎて、マイクロソフト製品でチャットボットが使えることだけがOpenAIとのパートナーシップだと思っている方も多いように感じます。
お客様からいただく問い合わせも、ChatGPTを使って自社のビジネスに何ができるのかを聞かれることが圧倒的に多いのですが、あくまでもChatGPTはOpenAIが開発したサービスの1つです。チャットや言語生成用にAIの言語モデル「GPT-3.5」をファインチューニング(すでに学習済みのモデルに新たな情報を追加し、モデル全体を再学習させ微調整)して提供されています。両社のパートナーシップにより、高度なAIテクノロジーをそれぞれが独自に商品化することが可能です。
新しいBingに搭載したエンジンは、
検索用にカスタマイズしたGPT
検索用に
先日、マイクロソフト社の検索エンジンMicrosoft Bingに最新の言語モデルGPT-4が搭載され話題になりましたが、OpenAI社が提供しているGPT-4との違いについてお聞かせください。
大きく異なるのは、ユースケースごとのファインチューニングです。Microsoft Bingで動いているGPT-4は検索に特化してファインチューニングされています。ビジネスユースケースに最適化された言語モデルが実装されているのが、Microsoft 365 Copilotです。一方、お客様がOpenAIのWebサイトにアクセスして使うことができる言語モデルは、ユースケースごとのファインチューニングが行われていません。
また、マイクロソフト製品の多くはSaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)で提供されていますから、利用用途に応じて導入することが可能です。さらにマイクロソフトが提供するマネージドサービスとして利用できるので、認証等のセキュリティ面でも安心してお使いいただけます。さらに、Microsoft Azure上でGPT-4などOpenAIの技術を実行できるAzure OpenAI Serviceを利用すれば、有害なデータや個人情報、暴力的な表現をフィルタリングしてアラートを上げる機能もご利用いただけます。OpenAIが開発・提供する最新の言語モデルをいち早く自社の製品に搭載したいのであれば、“本家”のOpenAIを選択。セキュアな環境で安心して利用したい場合は、マネージドサービスとしてAzure OpenAI Serviceを選んでいただけたらと考えています。
自分たちでセキュリティまで考慮して利用できるなら“本家”のOpenAI。
ある程度マイクロソフトにお任せしたいなら、Azure OpenAIという認識でよろしいでしょうか?
ある
現状はほぼその理解で間違っていないと思います。ただ、このところ“本家”側も規約の改定や明確なポリシーを設定したり、いくつかのコンテンツフィルタリングの機能を搭載するようになってきました。徐々にセキュリティにかじを切り始めていますので、今後は新たなフェーズに移行していくと思われます。
イタリア当局が国内でのChatGPTの提供停止を命じるなど、AIが与える社会的リスクにも注目が集まっています。
サイバーセキュリティをはじめ、リスクはすべてのテクノロジーに含まれていますが、AIが人間の知性に近いテクノロジーであるが故に、突出して指摘されているように思います。主観的な思い込みなどによるバイアスの掛かったデータを学習させれば、悪意を持った使い方もできてしまうのがAIです。そのため、倫理やガバナンスの領域については多方面から指摘がありますが、マイクロソフトは過去の教訓を糧に対策を強化。「責任あるAI」の原則を作成し、専門の諮問機関も立ち上げています。このチームがOKを出さなければ製品を公開できないなど、極めて強いコミットメントを社内にも置いています。
先日の「Office of Responsible AI(責任あるAIオフィス)」解散報道を不安に感じている方もいると思います。マイクロソフト社から諮問機関がなくなってしまったのでしょうか。
現段階では詳細な体制はお伝えできませんが、決して「責任あるAI」をやめたわけではありません。また、マイクロソフトにとってこのチームはとても重要な存在です。引き続きAIに関する倫理・ガバナンスの問題を重要な取り組みとして考え、製品の開発との両輪でコミットしていきます。マイクロソフト製品のニュースリリースなどを見ていただければ、「責任あるAI」の文脈が必ず付帯しているのをご確認いただけるはずです。
マイクロソフトは過去の苦い経験を踏まえ、組織としてのルールやガバナンスを敷きました。今もその状況に変わりありません。
マイクロソフトの責任あるAIの基本原則
出典:マイクロソフトWebサイト
Azure OpenAI Serviceは、
セキュリティガバナンスを土台に
チャットボットをカスタマイズ可能
チャットボットを
すでにAzure OpenAI Serviceを導入されている企業では、どのように活用されていますか。
現在ご利用いただいているお客様の活用で一番多いのは、旧来AIでも多かった社内外に向けたチャットボットとしてご利用いただく使い方です。これまで従業員が直接行っていたお客様への応対や、あらかじめ決められた質問にのみ対応している昔ながらのFAQを強化するために導入されています。Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用したAIアシスタントサービス「ConnectAI」を全社導入された、パナソニックコネクト株式会社様の事例は、各種メディアでも紹介されていますので、すでにご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。社員の皆さんが簡単にAIに質問できる社内向けのWebサービスを開発され、業務の生産性向上のために活用されています。
助手としてAIを活用(イメージ)
弊社の情報システム部に、業務でChatGPTを活用するなら何がしたいか聞いたところ、即「問い合わせ対応の効率化」と返ってきました。情報システム部門の皆さまは非常にお忙しいため、同じ意見の方が多いと思います。パナソニック コネクト様の事例が参考になるのではないでしょうか。
コールセンターでのお客様への応対や、マーケティング・PRなどに活用されている企業もありますが、社内ユースという点では、情報システム部門の皆さまにとって業務効率化のヒントになるかもしれません。パナソニック コネクト様では、問い合わせ対応だけでなく、情報の整理にも活用されています。例えば、新製品の企画など大量の情報を収集する業務では、途中で頭の中を整理したくなりますよね。そんなとき、誰かに説明することでスッキリまとまった経験がある方は多いのではないでしょうか。そういった場面での話し相手や資料の下書きなど、ChatGPTを助手として活用しようとされています。
一方、業務でAIを利用する際に問題となるのが、倫理やガバナンスです。情報流出への懸念から全面禁止にしたり、すでにAIを導入している企業では、業務上のデータや社内情報を入力してはいけないなどのポリシーを設定してガバナンスを強化されています。データを学習させる時間は必要ですが、Azure OpenAI Serviceはガバナンスの実践や、自社の製品・情報に強いチャットボットにファインチューニングが可能です。パナソニック コネクト様も、Azure OpenAI Serviceを選んだのは「入力した情報を学習データに2次利用しないと名言していること」「一定期間で情報が消去されること」「入力する情報に対してフィルタリング機能があること」を挙げられています。
AIの危険性だけに注目して
禁止するのではなく
重要なのは、どう活用していけるかを考えること
禁止するのではなく
重要なのは、
一般の企業が“本家”のOpenAIを採用してガバナンスを効かせるのは難しいのでしょうか。
“本家”のOpenAIのサービスを利用する場合、現状では実質的にサービス提供者がサービス品質を保証するSLA(Service Level Agreement)を結ぶことはできません。そのため、システムダウンによりサービスが使えなくなったり、情報漏洩が発生した際の保証が受けられない前提で利用することになります。また、GDPR(EU一般データ保護規則)で個人情報の取り扱いを厳しく規制しているEU域内では、ChatGPTがプライバシーを侵害しているのではないかという議論も起こりました。マイクロソフトはAzure含めた弊社製品をご利用されているお客様に対し、GDPRに準拠した対応を行っています。マイクロソフトのセキュリティに守られている状態は、お客様にとってAIを利用する安心材料になるのではないでしょうか。
日本でもAIを業務に取り入れる企業が増えている一方で、ChatGPTについては使用禁止を打ち出す企業も出てきました。しかし、完全に禁止してしまえばイノベーションは起こせないという意見もあります。
2022年11月にChatGPTが公開されてから、まだ数か月しかたっていません。最新の言語モデルGPT-4は、この取材時点でリリースから約半月です。性急に答えを出すのではなく、まずは触ってみることが必要ではないでしょうか。AIに関する情報は日々更新されていきますから、収集した情報だけで判断するのは難しいと思います。各自が実際に触ってみて感じた便利さを基に、自社に取り入れるメリットを検討してみてください。直接ChatGPTを使うだけでなく、LINEなどで利用できるAIアシスタントサービスを利用するのもいいでしょう。今は危険性だけに目を向けて禁止してしまうのではなく、どう活用していけるのかを考えることが大事な局面ではないかと感じています。
日々の業務の効率化について、情報システム部門の皆さまが自社での活用を検討される際のヒントになるような使い方をお聞かせください。
プレゼン資料や企画書、仕様書など、資料の種類や性質によってデータの置き場所は異なります。そのため、必要なときすぐには見つけられず、探すのに苦労することがよくあるのではないでしょうか。このような時間のロスをなくし資料管理を効率化させる方法の1つが、ナレッジマイニングと呼ばれるAIに関連する資料のインデックスを設定させることです。組織内に散在している情報の抽出に役立つナレッジマイニングの概念を適用すれば、検索性が大幅に向上しますから、求めている情報にも素早くアクセスできるようになります。DXや働き方改革などの影響から、業務の効率化と生産性の向上が課題だと感じている企業・組織が増えていることもあり、このような使い方に興味を持たれるお客様が多くなってきました。実際にChatGPTと同じくお問い合わせが増えています。マイクロソフトのAI製品の中に、そのような用途に役立つコンポーネントがいくつかありますので、ぜひお問い合わせください。
社内に点在する資料の検索性向上に、AIによるインデックス作成
多くのビジネスパーソンにとって、Microsoft 365 Copilotへの期待値はかなり高いと思います。日本のユーザーが使えるようになるのはいつ頃でしょうか。
今のところ一部の企業で試験的に運用されている段階で、いつからご提供できるのか現段階では未定です。日頃からMicrosoft WordやMicrosoft Excel、Microsoft PowerPointをお使いの皆さまが、AIを全面的に採用したMicrosoft 365 Copilotに期待してくださっていることは、われわれにも伝わっています。Microsoft Excelに貼った数字の羅列から傾向を分析してくれたり、グラフなどのビジュアルがあっという間に作成されるなど、Microsoft 365 Copilotの動画をご覧になった方は、かなりのインパクトを受けられたのではないでしょうか。
資料を一から作るのは、大変なことも多いと思いますが、Microsoft 365 Copilotは簡単なプロンプト(指示文章)を入力すれば、ある程度必要な項目が入力された状態から始めることが可能です。提案書や各種資料を白紙の状態から作成する必要がなくなり、業務効率の大幅な改善が期待できます。リリース時期の発表まで、今しばらくお待ちください。
競争によってAIの進化が加速
誰でもAIに触れられる時代に
誰でも
AIに関してはGAFAMと呼ばれるビッグ・テックの中でも、特にGoogle社と比較されることが多いと思います。両社の戦略の違いについてお聞かせください。
採用する言語モデルの方向性は大きく違います。マイクロソフトはOpenAIとのパートナーシップをベースに各AIモデルGPTを搭載しているのに対し、Google社は独自モデルです。2023年になって両社とも新たな製品やサービスに関する情報を次々と発表していますが、さまざまな作業を対話式で実行し、作業が効率化できる点はどちらにも共通しています。マイクロソフトが目指しているのは、製品の総合力や網羅性によって業務の効率化、その結果としてすべての個人と組織へ貢献すること。現時点では私どもからそれ以上お話しできることがありません。
CEOのサティア・ナデラ氏の発言「新たなレースが始まる」を、Google社への挑戦状だと受け取った人は多かったようです。
これまでもAIの開発競争は行われてきましたし、そのように受け取られた方は多かったと思います。自然言語処理能力を飛躍的に高めたといわれているのが、2017年にGoogle社が発表したAIモデルTransformerです。マイクロソフトもOpenAIとのパートナーシップにより、われわれが望む精度で答えを返せる言語モデルを得ることができ、ようやく同じスタートラインに立ちました。まさにここから、より人々の生産性や生活を豊かにすることが可能な言語モデルを作る開発競争が始まります。
競争によってAIが進化していくのは望ましいことです。しかし、そこに日本企業がプレーヤーとして参加していないことは、個人的にとても残念だと感じています。私も日本の製品担当としてAIとどう向き合っていくのか議論を進める役目を果たしていかなければと感じています。
OpenAI社のCEOサム・アルトマン氏が、あるインタビューで「日本人は創造性のレベルが高く、生成AIを使いこなすことがとても上手だ」と語られていました。
これは、おそらく画像や音声の活用のことだと思うのですが、世界の中でも特殊なのでしょうか。
これは、
日本人のAI活用方法がユニークだという話は、マイクロソフトのBing開発チームからも出ていました。海外ではAIを事業の拡張や、仕事を楽にするために活用しようとしますが、日本はアニメや歴史上の人物のキャラクターになりきらせて、それらが発言しそうなことを教え込んで対話できるようにするなど、活用方法が世界でも異彩を放っています。自分たちの作業の効率化ではなく、クリエイティビティが高い使い方を楽しんでいるというのはかなり特徴的で面白い使い方です。
過去に例を見ないスピードで進化するAIに対し、企業・組織はどう向き合っていくべきだとお考えですか。
現在のAIの動向は、取り組まなければ企業の存続が危ぶまれるといわれているDX以上に、企業・組織の今後に大きな影響を与える出来事だと思っています。これまでは、AI開発者やデータサイエンス系のAI開発に携われる人が圧倒的に少なかったため、開発規模を拡大できませんでした。しかし、現在はAIと自然言語で対話できるようになっただけでなく、すでに開発者ではないノンテクノロジー側の人がアプリケーションを作れたり、プログラミングのコード生成もできるようになっています。今後、AIが実装されていないアプリケーションは競争優位性としても見劣りしてしまい、実装されていることが当たり前になっていくはずです。まず、できるだけ早く触ってみる。そして小さく可能な範囲からシステムに組み込んでいくことが重要だと思います。
最後にメッセージをお願いします。
これまで、企業・組織がAIを導入する障壁は高かったと思います。しかし、今、普段使っている言語を口語的に入力して使えるところまでAIは身近な存在になりました。私たちは、AIが新たな可能性を切り開いてくれる歴史的な転換点に立っています。とにかく、いち早く実際に触れてみてください。そして、自社の製品やシステムに今すぐ反映したいのであれば“本家”のOpenAI、エンタープライズ向けに提供する強固なセキュリティ基盤を求めるなら、ぜひマイクロソフトの製品を選んでいただけたらと思います。
マイクロソフトでは、社員に対してAIのトレーニングを推奨していますが、これはグローバルに展開しているテック企業だからできる特別なことではありません。今は誰でもAIに触れることができます。自社のシステムや製品をより強力にするために、できるだけ早く取り入れることで、競合に対する優位性を出せるはずです。今後、勝負を分けるのは、AIに学習させた独自のデータで、素早いカスタマイズに対応できるかどうかではないでしょうか。マイクロソフトは、皆さまに今起こっている大きな流れに乗っていただけるよう、トレーニングやサポートをご提供して支援します。コンテンツもご用意していますので、ご期待ください。ぜひ一緒にAIに取り組んでいきましょう。https://ownedmedia-blog-skygroup.g.kuroco-img.app/files/user/ownedMedia_blog/230614-01/logo.png
マイクロソフトは、インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ時代のデジタルトランスフォーメーションを可能にします。「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を企業ミッションとしています
(「SKYSEA Client View NEWS vol.90」 2023年6月掲載 / 2023年4月取材)