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公開日2024.03.15更新日2024.05.17

情報通信技術(ICT)とは? IT・IoTとの違いや活用例を解説

著者:Sky株式会社

情報通信技術(ICT)とは? IT・IoTとの違いや活用例を解説

近年、情報通信技術(ICT)という言葉をよく耳にしますが、ITやIoTとどう違うのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、情報通信技術の定義や注目される背景、情報通信技術を強化するメリットについてわかりやすく解説します。また、情報通信技術の具体的な活用シーンや、導入を推進する上でのポイントもご紹介します。

情報通信技術とはデジタル化された情報を伝達する通信技術のこと

情報通信技術とは、デジタル化された情報を、インターネットなどの通信を利用して伝達する技術です。英語ではInformation and Communication Technology、日本では略して「ICT」と呼ばれています。

なお、ICTは、仮想空間と現実空間を融合した未来社会「Society 5.0」に位置する技術です。Societyは「社会」を意味しており、狩猟社会、農耕社会、工業社会へと進化し、ITが主流の情報社会Society4.0を経てたどり着いたSociety5.0を支える技術の一つがICTです。

ICTとIT・IoTとの違い

ICTと似た言葉に「IT」や「IoT」があります。情報通信技術とこれらの言葉は、どのように使い分けられているのでしょうか。それぞれの違いについて解説します。

ITとの違い

ITとはInformation Technologyの略称で、PCやデータ通信に関する情報や技術のことです。デジタル化されたデータや、それらのデータを扱うための機器などを包括的に表します。一方、ICTは情報を伝達するための技術です。ITがデータや機器そのものを指しているのに対して、データの「伝達」に焦点を当てているのがICTといえます。

IoTとの違い

IoTとはInternet of Thingsの略称で、「モノのインターネット」を表します。これまでインターネットにつながっていなかった電化製品などの「モノ」を、ネットワークにつなぐための技術です。IoTを利用することで、エアコンや冷蔵庫をWi-Fiに接続し、スマートフォンのアプリで操作したり、稼働状況を確認したりできます。

モノがインターネットにつながるIoTであれば、ICTの利用も可能になります。例えば、ゲーム機をインターネットに接続することで、プレーヤー同士がチャットなどでコミュニケーションを取ることが可能です。つまり、IoTは「接続」する技術であり、ICTは「伝達」する技術という違いがあります。

情報通信技術が注目される背景

近年、なぜ情報通信技術が注目されているのでしょうか。主な背景として挙げられる3点についてご紹介します。

中小企業を中心とした人材不足

情報通信技術が注目されている背景として、近年問題視されている中小企業の人材不足が挙げられます。人材不足に悩まされている中小企業では、限られた人員で業務をこなさなければなりません。

しかし、情報通信技術を活用することで、従来と比較して少人数でも業務を進められる環境を構築できます。例えば、情報通信技術の活用により、メールや電話などを用いた、非対面の営業手法であるインサイドセールスを導入することが可能です。インサイドセールスは、1人あたりの担当可能な見込み顧客件数を従来よりも増やせるため、中小企業の人材不足への有力な対応策になる可能性があります。

テレワークの普及

テレワークの普及が進んでいることも、情報通信技術が注目される背景の一つです。情報通信技術を適切に活用すれば、場所を選ばない柔軟な働き方を実現しやすくなります。Web会議システムやチャットツール、クラウドストレージなどを活用することで、各人が異なる場所で就業していても、コミュニケーションを取りながら業務を進められます。

生産性や効率性の向上

公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2023」によれば、日本の就業者1人あたり労働生産性は、OECD加盟38か国中31位と、1970年以降で最も低い水準です。このような背景の中、情報通信技術で業務を効率化して生産コストを抑制しようと、多くの企業が注目しています。情報通信技術を効果的に活用することにより生産性や効率性を向上させ、より短時間で質の高い業務を実現しやすくなります。

※公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2023

企業が情報通信技術を強化するメリット

企業が情報通信技術を強化し、効果的に活用していくことによって、どのようなメリットが得られるのでしょうか。主な5つのメリットについて解説します。

新しいビジネスチャンスの獲得につながる

情報通信技術を強化することで、オフラインのコミュニケーションで生じやすい地理的な問題を解消し、新しいビジネスチャンスの獲得につながります。例えば、従来なら遠方の取引先とは電話でやりとりするか、直接訪問するしかありませんでした。しかし、メールやチャット、Web会議といった多様なコミュニケーション手法を活用できるようになれば、従来よりも幅広い地域へのアプローチがしやすくなります。

コミュニケーションが円滑化する

情報通信技術を活用することにより、テレワークなどで時間や場所などの制約があっても、多人数でのコミュニケーションを円滑に行うことができます。例えば、従来のようにメーリングリストを用いてグループ内でメールでコミュニケーションをとることも情報通信技術の一つではありますが、メールではリアルタイムで会話を進められません。また、返信のタイムラグによるコミュニケーションの煩雑化も懸念されます。そのような場合には、複数名が双方向に会話ができるグループチャットを活用することで、ほかの参加者の発言を加味しながら円滑なコミュニケーションをとることが可能です。

リアルタイムに対応することで契約率が向上する

メールやチャットはもちろん、Web会議などの情報通信技術を活用すれば、顧客からの問い合わせや要望にも迅速に対応しやすくなります。リアルタイムで対応することによって顧客の満足度が上がり、契約率の向上も期待できます。また、情報通信技術で組織内のコミュニケーションを円滑化できれば、顧客への対応履歴やこれまでのトラブル事例などもスムーズに共有できるため、対外的なサービス品質の向上にも寄与します。

スピーディーな意思決定が行える

ワークフローシステムやWeb会議といった情報通信技術を組み合わせて活用することで、スピーディーな意思決定が実現しやすくなります。従来であれば、上長の承認を得るために書類への押印を求めたり、決裁者が社内にいる日時に合わせて会議を設定したりするケースも多々ありました。情報通信技術を活用することで時間的なロスが減り、意思決定をよりスピーディーに行えます。

人的ミスの回避につながる

デジタルに移行可能な業務プロセスを情報通信技術で自動化すれば、業務における人的ミスを回避しやすくなります。例えば、データ化した議事録を必要な相手にメールで共有するという簡単な作業も、人間が行えばミスが発生しないとは限りません。しかし、情報通信技術により、作業の手順や流れが定型化されているこのようなタスクを自動化すれば、ミスはなくなります。また、業務を自動化することで人的リソースに余裕が生まれ、従業員も注力すべき業務に集中できます。

情報通信技術の活用例

情報通信技術はさまざまな場面で幅広く活用されています。ここでは、教育現場や介護分野、医療分野など、幅広い分野での具体的な活用シーンについてご紹介します。

教育現場での活用

学校や学習塾といった教育現場は、情報通信技術が広く活用されている分野です。理科の実験などの動的な学習内容は、動画教材を使うことでわかりやすく解説できます。また、生徒がタブレット端末から解答を送信し、教師がその場で全員の答案を確認するといったことも可能です。

介護分野での活用

介護分野においては、スタッフ間の情報共有や利用者の見守りシステムに情報通信技術が活用されています。かつての介護現場では、利用者の状態やケア内容、スタッフが気づいた点など、サービス品質の維持に欠かせない情報を紙媒体で共有していました。しかし、タブレット端末上で情報を管理することで、書類作成の時間を削減し、迅速な情報共有が可能になりました。

医療分野での活用

医療分野においては、情報通信技術の活用によって在宅医療やオンライン診療が可能になりました。離島や山間部など、医師が不足しがちな地域でも高水準の医療サービスを提供しやすくなり、より多くの患者をケアできるようになっています。また、患者の体温や呼吸、血圧、心拍数といったバイタルサインを遠隔で取得できるようになったことで、容体が変化した際の早急な対応が可能になります。

防災分野での活用

防災分野においては、地域住民への緊急速報メールの配信や安否情報の確認システム、状況に応じた避難所の検索などに情報通信技術が活用されています。災害から身を守るには、正確な情報をいち早く知ることが不可欠です。リアルタイムで更新される災害情報を多くの人に届ける手段として、情報通信技術は最適といえます。

建設・土木分野での活用

建設・土木分野においては、施工管理に必要な情報共有の場面で情報通信技術が活用されています。現場写真と図面を共有することで、監督者と作業員との間で認識のずれが生じるのを防ぎ、作業をスムーズに進めることが可能です。

農業・漁業分野での活用

農業・漁業分野においても、情報通信技術を活用した作業の合理化・効率化が進んでいます。IoTセンサを活用した水田の水位情報取得や、センシングによる漁場の水温管理など、人の手で直接行ってきた作業を機械と情報通信技術に置き換える動きが拡大しつつあります。

観光分野での活用

観光分野においては、主に観光客向けのサービス向上や付加価値の提供に情報通信技術が活用されています。観光案内や旅程をモバイル端末で確認できる仕組みや、多言語に対応した案内表示、AR技術を活用した観光スポットの詳細な説明など、観光客の満足度を高める上で情報通信技術が重要な役割を果たしています。

テレワークでの活用

多様な働き方の実現にも、情報通信技術が果たす役割は重要です。テレワークのようにお互いが離れた場所で就業する環境下では、コミュニケーションや情報共有に課題が生じがちです。チャットツールやWeb会議システム、クラウドストレージ、クラウド勤怠管理システムといった情報通信技術の活用により、テレワーク特有の課題を解決できる可能性があります。

地方創生での活用

情報通信技術は、地方創生の実現にも寄与しています。情報通信技術を活用することで、居住地に関係なく日本中の企業に就業することが可能です。地方ではあまり求人がない業種・職種に就業できるようになれば、Uターンや移住も検討しやすくなります。総務省が推進している「ふるさとテレワーク」も、ICTを活用して都市部への人口集中を緩和する取り組みの一例です。

情報通信技術を推進する上でのポイント

情報通信技術の導入・活用を推進する際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。次に挙げる4点を押さえることで、情報通信技術のスムーズな導入と運用を実現できます。

従業員のITリテラシー強化

情報通信技術は効果的に活用できれば利便性を実感できますが、各従業員が十分に使いこなせなければ業務効率がかえって低下することもあります。また、不適切な使用があれば、情報漏洩など組織全体がリスクにさらされる事態を招きかねません。従って、情報通信技術の導入を進める上では、従業員のITリテラシーを強化しておく必要があります。

具体的には、説明会や研修など、情報通信技術を活用する目的や導入するメリットについて学ぶ場を設け、情報通信技術の導入に対する従業員の理解を深めることが大切です。また、導入後も操作方法や活用方法についてレクチャーする人員を配置するなど、現場に定着させるまでのサポートを徹底する必要があります。

費用対効果の算出

情報通信技術は導入さえすれば、必ず効果が実感できるものではありません。自社の課題を解決できる可能性が高いツールを選定した上で、導入後は効果測定を実施して費用対効果を検証していく必要があります。

例えば、業務効率化の達成が情報通信技術の導入目的であれば、実際に業務時間や工数がどの程度削減されたのか、数値をデータとして検証することが大切です。期待される効果が表れないようであれば、ツールの見直しや機能の追加・廃止を検討します。情報通信技術の導入そのものを目的にしないことが重要です。

扱いやすいツールやシステムの選定

情報通信技術系のツールを選定する重要なポイントとして、現場で使用する従業員にとって扱いやすいかどうかという点があります。機能が充実しているからといって、操作性が優れているとは限りません。現場の担当者が直感的に操作できるか、もしくは操作を覚えること自体を負担に感じないかといった視点で選ぶことが大切です。

無料期間や試用版が提供されているツールであれば、導入前に担当者が操作して使用感を試すこともできます。現場の意見や要望をヒアリングし、各担当者が扱いやすいと感じるツールやシステムを選定するのも一つの手です。

サイバーセキュリティ対策の徹底

情報通信技術を導入する場合には、社内で使用する機器や端末が増えることになります。機器や端末が増えれば、サイバー攻撃のリスクは高まるため、セキュリティ対策ソフトウェアの導入や各端末の利用状況の把握が必要です。

情報通信技術の導入はサイバーセキュリティ対策とセットで

情報通信技術は、人手不足の解消やテレワークへの対応、生産性・効率性の向上を実現する上でも導入しておきたい技術といえます。しかし、情報通信技術を活用する際には、セキュリティ対策にも万全を期したいところです。

クライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View」は、サイバーセキュリティ対策の強化とIT資産の安全な運用管理を支援するツールです。サイバーセキュリティに関する専門知識がなくても、直感的に操作・運用できる点が特長です。業務で禁止されているソフトウェアの使用など、組織のポリシーに反する操作が行われた際にアラート通知を行ったり、操作自体を禁止したりする設定が可能です。スマートフォンに関しても、カメラやスクリーンショットの使用、外部ストレージとのデータ同期、アプリ内課金など、業務に不要な機能や操作を制限できます。

情報通信技術の導入に際してサイバーセキュリティ対策を強化したい事業者様は、「SKYSEA Client View」の導入をぜひご検討ください。