テレワーク監視は企業に必要? メリット・デメリットや監視方法を解説
テレワーク環境下では、従業員一人ひとりの働く様子を事細かに確認することは難しいのが実情です。そのため、従業員の稼働状況を確認することを目的に、テレワーク監視の仕組みを検討している事業者様も多いのではないでしょうか。テレワーク監視は、労働環境の保護の意味合いで実施される労務管理です。この記事では、テレワーク監視の必要性やメリット・デメリット、具体的な監視方法を解説します。
テレワークの労務管理は、監視ではなく保護
テレワークの環境下においても、オフィスでの就業時と同様に労務管理を行う必要があります。テレワーク監視と聞くと、あたかも従業員を常時見張っているという印象を持ちます。確かに、従業員のサボりを防ぐなど、見張るという側面も企業にとって重要な目的の一つといえます。しかし、本来であればテレワークの労務管理は、過重労働や業務の滞りがないか確認することを主な目的としており、監視というよりも従業員の保護の意味合いで実施されるものです。テレワークにおける労務管理は、テレワークによって生じるメリット・デメリットを押さえた上で、目的に合った仕組みを確立することが重要です。
企業がテレワークを監視するメリット
テレワーク環境下において、企業が従業員を監視することによって得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。主なメリットを6つ紹介します。
適度な緊張感によって生産性が向上する
従業員が適度な緊張感を維持できることは、テレワーク監視のメリットです。テレワークの状況を監視する仕組みが確立すると、従業員に「見られている」という意識が生まれ、適度な緊張感が生産性向上につながる可能性があります。オフィスに出勤して就業する場合は、常に周囲に人がいる状態です。そのため、あからさまに手を抜いているように映らないよう、多くの人はある程度の緊張を保っています。一方、テレワーク環境下では1人で仕事を進めることになるため、気がゆるんだり集中力が持続しなくなったりしかねませんが、適度な緊張感があれば生産性の確保につながります。
従業員のサボりを発見できる
従業員のサボりを発見できることも、テレワークを監視するメリットの一つです。オフィスで就業していたときと比べて著しく生産性が低下していたり、作業の進捗状況がかんばしくなかったりする場合、周囲に人の目がないことで従業員がサボっている可能性も否定できません。また、従業員にサボる意図がなかったとしても、集中力が持続していない可能性はあります。こうした状況を早期に察知する上でもテレワークの監視は有効です。
適切な業務量を把握できる
従業員が適切な業務状況にあるかを確認できることも、テレワーク監視のメリットです。テレワーク環境下ではオフィスに集まって就業する場合とは異なり、各自の業務状況を管理者は目視で確認できません。見えないところで過重労働に陥っている従業員がいないか、作業の遅延が発生する可能性がないかといったことも、テレワーク監視を行えば適切に確認できます。特定の担当者に過度の負荷がかかっているといった点を確認できれば、必要に応じて業務量を調整したり、増員を検討したりすることも可能です。
妥当性のある人事評価が行える
テレワーク監視を行えば、妥当性のある人事評価が行えることもメリットといえます。各従業員の稼働状況を確認することは、人事評価の妥当性を保つ上でも重要なポイントです。テレワークの監視ができていないと従業員がどのように業務を行っているかが見えないため、成果に基づいた評価に偏りやすい傾向があります。しかし、目覚ましい成果が出ていなかったとしても、業務を進めるプロセスにおいて評価すべき取り組みが多々あるケースも少なくありません。就業状況の実態をより客観的に評価する上でも、テレワーク監視は有効です。
従業員のコンディションも把握できる
従業員のコンディションを随時把握しやすくなることも、テレワークを監視するメリットです。テレワークでの成果が低下している場合、必ずしも従業員がサボっていたことが原因とは限りません。業務を遂行する上で何らかの問題を抱えていたり、健康面でのトラブルが生じていたりするケースもあるからです。急激に業務の処理スピードが低下しているなど、業務の進捗を定量的に判断することができれば、従業員のコンディションをより適切に把握できる可能性が高まります。
情報漏洩防止に役立つ
従業員がどのツールを利用しているか、どのような操作をしたかを把握できれば、情報漏洩の防止に役立つというメリットもあります。誤操作によって重要な情報を漏洩させてしまったり、組織が把握していない端末やアプリケーションを使用したことが情報漏洩につながったりする可能性もあるからです。テレワーク監視を通じて不適切な行動やリスクの高い操作を早期発見し、情報漏洩を抑止できる可能性が高まることは大きなメリットです。
企業がテレワーク監視をするデメリット
状況によってはテレワークの監視がデメリットにつながることも想定されます。テレワーク監視の仕組みを導入する際には、以下の3点に注意が必要です。
過剰な監視によるモチベーション低下
必要以上に常時監視されている印象を与えることは、従業員にとって「信頼されていない」「息苦しい」と感じる原因となります。結果として、仕事に対するモチベーションが低下し、業務の質や成果の低下を招く原因にもなりかねません。例えば、PCの操作をワンクリック単位で監視されたり、離席状況を秒単位で監視されたりすることは、多くの人にとって快く感じられないものです。テレワーク監視の仕組みを構築する際には、過剰な監視や干渉につながらないよう、配慮する必要があります。
監視が目的化してしまう
テレワークの監視そのものが目的化しかねないこともデメリットの一つといえます。テレワークの監視は、本来は生産性の向上や過重労働の防止など、前向きな目的のために実施されるべきものです。しかし、監視する項目を増やし過ぎたり、データを取得する頻度を高く設定し過ぎたりすると、監視自体の負担が大きくなってしまいます。テレワークの監視が目的化することで、かえって生産性の低下を招くような事態は避けなくてはなりません。
従業員のプライバシー保護の問題
テレワーク監視が業務上必要な範囲を超えて行われた場合、従業員のプライバシー侵害につながる恐れがあるというデメリットもあります。例えば、離席していた時間に何をしていたのか逐一報告させるような行為は、プライバシー保護の観点において問題視されかねません。テレワーク監視は業務上必要と認められる範囲にとどめるとともに、社会通念上妥当な範囲を超えることのないよう、慎重に判断する必要があります。
テレワークで監視を行う際の注意点
続いては、テレワーク監視の仕組みを導入するにあたり、注意しておくべき点を解説します。テレワーク監視の目的から逸脱した運用にならないようにするためにも、以下の点を押さえておくことが大切です。
管理・監視に対する認識を共有する
そもそも、なぜテレワーク監視の仕組みを取り入れるのか、目的や意義については全社的に認識を共有しておく必要があります。従業員が一方的に監視されているように感じたり、監視されていること自体を不快に感じたりさせない注意が必要です。単に監視の仕組みを導入するのではなく、従業員側にもメリットがある取り組みであることを丁寧に説明し、コンセンサスを得ておくことが求められます。
従業員がストレスを感じない運用を行う
従業員の視点に立った場合、負担に感じたりストレスを抱えたりする監視方法にならないよう配慮することも大切です。Webカメラを常時オンにしておくよう義務づけたりするといった運用方法は、過度な干渉につながりかねません。監視項目を業務上必要な範囲に絞るとともに、従業員に心理的な負担をかけやすい監視方法は避ける必要があります。従業員が「信頼されていない」「息苦しい」と感じるような運用になっていないか、従業員の立場になってイメージすることが重要です。
管理者の負担も考慮する
テレワーク監視が、管理者にとって負担になりかねない点にも留意する必要があります。監視・管理のために割かれるリソースを十分に考慮し、無理なく運用を続けられる仕組みを確立することが大切です。具体的には、以下の3点を慎重に検討することをお勧めします。
テレワーク監視・管理の運用において検討すべきポイント
- 監視・管理すべき項目数が多過ぎないか
- 確認する頻度が適切か
- 監視・管理の方法や手順が複雑になっていないか
管理者の負担が過大になってしまうと、テレワーク監視のために多くのリソースを割かれて本来の業務が滞ったり、かえって生産性が低下したりする原因にもなりかねません。テレワーク監視にかかる手間や労力も、十分に考慮しておくことが重要です。
ツールの情報だけを根拠に、思い込みで判断しない
テレワーク監視に際しては、さまざまな専用ツールを活用するケースがあります。ツールを通じて取得されるデータを活用することは重要なポイントですが、ツールの情報だけを根拠に、思い込みで判断しないよう注意が必要です。
例えば、従業員が使用しているPCの操作ログに空白が見られた場合、「空白の時間はサボっていたに違いない」などと短絡的に判断するべきではありません。端末や機器に不具合があり利用できない時間が生じていたなど、何らかの事情によって空白が生じた可能性もあるからです。思い込みで判断した結果、従業員と管理者との間で信頼関係が崩れてしまうことのないよう、慎重な判断が求められます。
テレワーク監視の方法
ここからは、テレワークを監視する方法を紹介します。テレワークの監視は、自社の業務特性や管理者の負担を考慮した上で、適切な方法を選ぶことが重要です。
勤怠管理システムで打刻管理を行う
クラウド勤怠管理システムを導入すれば、テレワーク環境下であっても場所を問わず、オンライン上で就業開始時刻・終了時刻の打刻が可能です。また、システムによっては休憩時間や中抜けの時間も記録ができます。クラウド勤怠管理システムは、就業時間ベースでテレワークを監視したい場合に適した仕組みといえます。
ただし、勤怠管理システムによる打刻管理は、あくまでも従業員本人による自己申告となる点には注意が必要です。退勤の打刻後、従業員が自主的にサービス残業をしている可能性もゼロではありません。打刻は実態どおりに行うよう周知徹底を図り、休憩時間や中抜けの時間もどのように扱うべきか、テレワーク時の就業ルールは明確に定めておく必要があります。
ログ管理によって労働内容を把握する
従業員が使用するPCの操作ログを取得し、稼働状況や労務内容を把握する方法もあります。ログを取得して解析すると、従業員がどのソフトウェアを使ってどのような作業を行ったか、成果に至るまでの労働内容が明確に見えてきます。従業員自身は特に対応すべきことがないことに加え、管理者側も必要なログのみ参照することで目的に応じた運用がしやすい監視方法です。
注意点としては、取得するログの項目を増やし過ぎないようにすることです。ワンクリックに至るまで詳細なログを取得してしまうと、日々の業務を通じて蓄積されるログは膨大な量になりかねません。結果として、必要なログが見分けにくくなったり、ログの管理そのものに手間がかかったりする原因となります。取得・管理するログは厳選するとともに、チェックするタイミングについても事前に決めておくことをお勧めします。
Webサイトへのアクセスを監視する
Webサイトへのアクセスを監視することも、労務管理やセキュリティに役立ちます。ツールによっては閲覧可能なWebサイトを制限する機能を備えたものもあるため、業務に不要なWebサイトの閲覧を制限することも可能です。信頼性の低いWebサイトにアクセスできない状態にすることにより、マルウェアなどへの感染防止にもつながります。なお、Webサイトへのアクセスを制限する範囲や条件は慎重に設定し、業務を妨げない範囲で運用することが大切です。
アプリケーションの起動監視を行う
従業員が各自のPCで使用しているアプリケーションの状況を監視する方法でも、テレワークの監視は可能です。業務に必須のアプリケーションがほとんど稼働していなかったり、起動回数が極端に少なかったりするようなら、従業員が業務を行っていない可能性が考えられます。一方で、アプリケーションが過度に稼働していれば、長時間労働になっているかもしれません。なお、従業員の担当業務によっては、アプリケーションの稼働状況がそのまま成果に直結するとは限りません。アプリケーションの起動監視のみでは、生産性の維持や成果までの過程といったパフォーマンス面の判断ができない点には注意が必要です。
タスク管理ツールによって業務状況を管理する
タスク管理ツールによって、テレワーク時の業務状況を管理する方法もあります。この方法は就業時間や稼働状況ではなく、実務や成果ベースで状況を把握したい場合に適しています。本来、タスク管理ツールは業務の進捗管理やチーム内の情報共有に活用されるツールです。そのため、担当者ごとの業務量の偏りや作業の遅延を防ぐ効果も期待できます。
一方で、タスク管理の負担が管理者に集中してしまうと、管理者自身のリソースが大きく割かれる原因にもなりかねません。タスクの進捗状況を各従業員が自主的に記録・管理し、適宜連絡を取り合って協力しながら業務を進めていく社内風土を醸成する必要があります。
チャットツールでコミュニケーションを取る
テレワークの監視には、チャットツールでのコミュニケーションを通じて各自の稼働状況を把握していく方法もあります。チャットツールであれば管理者から従業員への声がけも気軽に行える点が大きなメリットです。ただし、気軽に連絡を取り合える状態になることで、メッセージをやりとりする頻度が高くなり過ぎたり、業務と直接関わりのない雑談などに割く時間が増えたりする恐れはあります。チャットツールは、ほかのテレワーク監視方法と組み合わせ、状況把握の補完として活用していくことをお勧めします。
IT運用管理とセキュリティ対策を両立するIT資産管理ツールを利用する
IT資産管理ツールを導入し、システムを安定稼働させるIT運用管理とセキュリティ対策を両立させていくテレワーク監視方法もあります。従業員の稼働状況を把握しつつ、テレワークに特有のセキュリティリスクを抑制したい場合にお勧めの方法です。
IT資産管理ツールであれば、各従業員がPCを操作している時間を集計できるほか、重要データの漏洩につながりかねない操作を制限したり、リスクの高い操作が行われた際に警告を表示したりすることもできます。従業員のジョブ管理を自動化させることで、管理者による目視やデータ確認の手間を軽減し、安全かつ効率的なテレワーク環境を構築したい事業者様にお勧めの方法です。
テレワークの監視には、業務状況の把握・管理や不正防止に役立つツールの活用を
テレワークの監視は従業員のプライバシーにも絡むため、慎重に進めていくことが大切です。クライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View」は、組織のIT運用管理とセキュリティ対策を両立するIT資産管理ツールであり、労働状況の把握・管理から不正防止まで役立ちます。
「SKYSEA Client View」では、PCの操作時間を集計・分析し、従業員の頑張りをレポートとして定量的に「見える化」する「PC活用状況分析」がご利用いただけます。また、組織にとって重要なデータの漏洩を防ぐため、各種操作を制限する「注意表示(アラート)設定」もご利用可能です。ファイルのWebアップロードやダウンロードなどの操作についてもクライアントPC単位で設定でき、情報漏洩やマルウェア感染の防止にお役立ていただけます。
テレワーク環境においても情報セキュリティ対策やIT資産管理、システム運用、勤怠管理などを強化できる、「SKYSEA Client View」の導入をぜひご検討ください。
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