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公開日2023.12.15更新日2024.03.08

ログ管理とは? 企業に必要な理由やメリット・デメリットを解説

著者:Sky株式会社

ログ管理とは? 企業に必要な理由やメリット・デメリットを解説

情報セキュリティ対策の重要な施策の一つに「ログ管理」が挙げられます。ログ管理という言葉自体は聞いたことがあるものの、具体的に何をするのか、なぜ必要なのかご存じない方も多いのではないでしょうか。この記事では、ログ管理に関する基本事項や必要とされる理由のほか、ログ管理を行うメリット・デメリットについて解説します。ログ管理を効果的に実施する方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

ログ管理とはPC端末の操作履歴を記録・管理すること

ログとは、PCや各種システムで扱うデータ履歴のことです。例えば業務で使用するPCは、起動してからシャットダウンするまでの間にさまざまな操作や通信が行われています。こうしたデータの一つひとつの履歴がログに相当します。

特に情報セキュリティ対策の分野においては、誰がいつ、どの端末で何をしたのかといった各種ログを記録し、その履歴を管理することをログ管理と呼んでいます。何らかのトラブルが発生した際、ログを参照することで原因究明に役立てられ、被害の実態把握や再発防止策の検討にも欠かせないため、企業においてはログ管理を適切に行うことが大切とされています。

ログ管理が必要な理由

前述のとおり、ログ管理は情報セキュリティ対策の一環として重要な施策といえます。なぜログ管理が必要とされているのか、主な理由について解説します。

サイバー攻撃の被害を最小限にできる

企業がサイバー攻撃を受けると、機密事項や個人情報が外部に漏洩するなど、重大な被害を受ける恐れがあります。ウイルスの侵入や不正アクセスがどの経路で発生したのか、どの端末が発生源であるのかが素早く特定できれば、被害を最小限にとどめることができます。

企業が情報資産を保護するには、自社の端末やシステムでどのような操作や通信が行われたのかを随時記録しておかなくてはなりません。ログ管理は、サイバー攻撃の被害をできるだけ拡大させないようにする上で必要な対策の一つといえます。

IT資産の監査への対応

企業は顧客や取引先に関する多くの情報を扱っていることから、IT資産を適切に管理する社会的責任を負っています。こうした責任を企業がきちんと果たせているかを確認するために、IT資産に関する監査が行われるケースも少なくありません。そのため、監査への対応に備えて、日々ログ管理を適切に行うことが大切です。

監査にいつでも対応可能な体制を整えることは、日頃から社内業務を適切に運営していくことにつながります。監査のための対策というよりも、いつ監査を受けたとしても問題のない仕組みを整えておくことが、適切な情報セキュリティ対策の実現に役立つということです。

PCで記録できる主なログの種類

PCで記録できるログは多岐にわたります。主なログの種類について見ていきましょう。

操作ログ

PCやシステムをいつ、誰がどのように操作したのかを記録した履歴が操作ログです。ファイルやフォルダを閲覧・作成・変更したログのほか、プリンターでの印刷ログやWebへのアクセスログ、送信メールのログなど、PCやシステム上で行われたさまざまな操作ログを記録することができます。このような操作ログを記録しておくことにより、トラブルが起きた際にも原因を追跡して究明することが可能になります。

認証ログ

認証ログとは、PCやシステムへのログイン履歴のほか、Webサイト上でのログイン情報などを記録した履歴のことです。ログインに成功した履歴以外に、ログインに失敗した際の履歴も残ります。不正アクセスの手口によっては、複数回ログインを試みた際にログインエラーが多数発生するケースが少なくありません。認証ログを確認することにより、不正アクセスのような悪意のある操作が実行されていないか調査する際に役立ちます。

通信ログ

社内サーバーへのアクセス記録やインターネットの通信記録など、ネットワーク通信を利用した履歴が通信ログです。通信が行われた端末やサーバー、通信時刻、通信内容、通信エラーに関する記録を残しておくことにより、いつ誰がどのような通信を行ったかを確認できます。不審な通信が行われている履歴が発見された場合、マルウェアの侵入や不正アクセスなど、悪意のある操作が行われている可能性があります。

通話ログ

通話ログとは、電話による通話の履歴を記録したものです。発信履歴や着信履歴のほか、不在着信の記録などを管理します。情報資産の漏洩や流出は電話経由で行われることも想定されるため、従業員がいつ誰と電話でやりとりをしたのか確認できるようにしておくことが大切です。情報の流出経路を特定する際には、通話ログも含めて検証が行われるケースも少なくありません。

イベントログ

Windowsの機能の一部として記録されるログです。PCの起動やクリック、ファイルの作成といったPCやサーバー上で発生する、あらゆる動作(イベント)を記録したものがイベントログです。ただし、実際にイベントログとして収集・記録するものは、情報セキュリティ対策の観点から重要なイベントに限られるのが一般的です。エラーや不具合などに関するイベントログを管理することにより、平常時と異なる現象が起きていないかを確認することができます。

エラーログ

PCやシステム上で発生したエラーに関する記録のことをエラーログといいます。エラーの原因を特定するには、どのような操作をした際にエラーが発生したのかを記録しておかなくてはなりません。エラーログを参照することにより、エラーの発生日時や状況、エラーの内容を確認できます。特定の操作が行われた際にエラーが発生していることが判明すれば、再発防止に向けた対策を立てやすくなります。

設定変更ログ

PCやシステムの設定を変更した記録のことを設定変更ログといいます。サイバー攻撃の手口は巧妙化しており、攻撃を仕掛けた形跡を消すためにPCやシステムの設定が変更されてしまう可能性も否定できません。不正な設定変更が行われた形跡がないか確認する際に、設定変更ログが活用されます。また、通常の設定変更においても変更後に不具合が発生するケースは少なくありません。不具合が発生した直前にどのような設定変更が行われたのかが特定できれば、不具合の原因が判明しやすくなります。

印刷ログ

印刷ログとは、データをプリンターに出力した記録を指します。印刷されたデータの内容や印刷部数、データが送信された端末、出力に使われたプリンター名などを、印刷ログから追跡可能です。 紙に印刷された情報が外部に持ち出され、情報漏洩へとつながるケースも少なくありません。いつ誰がどのようなデータを印刷したのかを特定できれば、どこから情報が漏れたのか検証しやすくなります。

ログ管理のメリット

ログ管理を適切に行うことには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主な2つのメリットについてご紹介します。

個人情報などの情報漏洩対策になる

適切なログ管理を行うメリットの一つは、機密情報や個人情報などの情報漏洩対策に役立つことです。情報漏洩には外部要因と内部要因の2つが考えられます。外部要因とは、サイバー攻撃など社外からの攻撃によってもたらされる被害のことです。一方、内部要因とは従業員のミスや不正に起因する被害を表します。

ログ管理を行うことで、外部要因による情報漏洩は、どの経路や端末から生じたのかを特定しやすくなります。また、内部要因に関してもどの従業員による行為が原因であるのかを把握できます。

アクセス解析によってマーケティング活動にも利用できる

ログ管理によって得られたデータは、マーケティング活動に生かすことが可能です。自社のWebサイトを訪問したユーザー数や属性、よく閲覧されているページ、滞在時間、遷移先のページなどのログデータをもとにした分析に役立てることができます。アクセス解析から得られた結果をWebサイトの改善に役立てることでサイトを最適化しやすくなり、結果としてマーケティング活動の改善につながります。

ログ管理のデメリット

ログ管理には、デメリットといえる側面もあります。特に次の2点については、ログ管理に取り組む際に対応策を検討しておくことが必要です。

データ量が膨大なため、管理システムが必要

日々の業務で生成されていくログデータが、膨大な量になることがログ管理のデメリットの一つです。すべての端末やシステムごとにログを記録し、適切に管理していく作業を手動で進めるのはほぼ不可能といっても過言ではありません。

現実的な解決策としては、ログ管理のためのシステムを導入するのが適切です。ログを一元管理し、必要に応じてログを抽出・確認できるシステムを活用するのが得策といえます。統合ログ管理システムなどを活用すれば、各所に分散しているログを集約して、統計データを自動生成することも可能です。管理・運用工数と労力を踏まえると、ログ管理を適切に行うには目的に合った管理システムが必須といえるでしょう。

ログ管理のみでは完全な情報セキュリティ対策とはならない

ログ管理は情報セキュリティ対策として重要な要素の一つですが、ログ管理のみを徹底すれば完全な情報セキュリティ対策が実現できるわけではないという点もデメリットといえます。

導入する管理システムによっては不審な操作や通信を検出し、アラートを発出する機能を備えたものもあります。ただし、あくまでも異常が発生した事実を検知し、原因をいち早く特定するための仕組みであり、外部からの攻撃や不正な操作を未然に防ぐものではありません。ログ管理は事後対応のための対策であることから、脅威が発生・侵入するのを未然に防ぐ対策も併せて行う必要があります。

ログ管理システムを導入するメリット

ログ管理システムを導入することにより、さまざまなメリットを得ることができます。ログ管理システムの主な導入メリットを押さえておきましょう。

不正が行われた端末を検知し、ネットワークから隔離することもできる

何らかの不正な操作や通信が行われた端末を検知して自動ブロックすることもできる点が、ログ管理システムを活用するメリットの一つです。マルウェアの感染や不正アクセスなどの被害を受けた際には、初動対応が重要なポイントとなります。できる限り早期に異常を検知し、事象が発生している端末を特定してネットワークへの接続を遮断することが大切です。

ログ管理システムを導入することで、こうした初動対応を自動化することができます。情報管理担当者が常に全端末・全システムを監視するのは現実的ではありません。スピーディーな初動対応を実現するには、ログ管理システムを活用するのが得策といえます。

膨大なログデータを一元管理できる

膨大な量のログを自動で取得し、一元管理できることもログ管理システムを導入するメリットの一つです。単にログを蓄積していくのではなく、管理しやすい形に自動で変換するため、必要なタイミングで必要なログを素早く収集できます。

組織内の多くの端末や各種システムで日々生成されるログは、端末やシステムごとにデータの形式が異なるケースも少なくありません。単にログを蓄積しているだけでは、いざというときに活用できない恐れもあります。ログデータの一元管理が可能になることは、ログ管理システムを活用する重要なポイントの一つといえます。

サイバー攻撃や従業員による不正な操作を早期発見できる

ログ管理システムの多くは、サイバー攻撃や従業員による不正な操作などでログに不審な挙動が見られた際に、アラートを発出する機能を備えています。不審な挙動や通信を検知し、自動でアラートを発出することにより、被害が発生していることをいち早く発見することが可能です。

被害の発生状況を早期に察知できれば、被害の拡大を最小限に食い止めることができます。万一、情報漏洩が発生した際にも、流出経路や流出した情報を早期に特定できます。不正な操作による被害を最小限に抑えられることは、ログ管理システムを活用する上で大きなメリットといえます。

自社の情報資産の管理ができる

自社の情報資産を適切に管理できることも、ログ管理システムを導入する大きなメリットとして挙げられます。企業にとって、情報資産は重要な資産です。いつ誰がどのようなデータを作成・変更・削除したのか、外部との送受信がいつどのような方法で行われたのか、印刷や記憶媒体への保存によって外部へ持ち出された形跡はないかといった追跡調査が可能になるため、自社の情報資産をより適切に管理できるでしょう。

「SKYSEA Client View」が情報資産の適切な管理を支援

組織のログを適切に管理し、情報セキュリティ対策を強化するには、クライアント運用ソフトウェア「SKYSEA Client View」の導入がお勧めです。

「SKYSEA Client View」では、クライアントPCの操作ログや送信メールログなど、多くのログを管理できるのはもちろん、例えば、機密ファイルに対する一連の操作ログを時系列で確認できるなど、不審な挙動を早期に把握することが可能です。また、アプリケーションやシステムごとにアカウントの取り扱いに関するログも記録でき、不審なアカウントの追加や削除、他人のアカウントを利用した「なりすましログイン」などの状況把握にも活用できます。

さらに、「SKYSEA Client View」とセキュリティ製品をはじめとするさまざまな他社製品を連携させることで、情報セキュリティ対策やIT資産管理、ITシステム運用、勤怠管理などを強化でき、幅広いリスクに対応することが可能です。

ログ管理を適切に行い、組織の重要なデータの保全に取り組みたい事業者様は、ぜひ「SKYSEA Client View」の活用をご検討ください。

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