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Sky株式会社

公開日2024.12.12

統合監視の必要性とは? 仕組みやツールの種類、検討ポイントを解説

著者:Sky株式会社

統合監視の必要性とは? 仕組みやツールの種類、検討ポイントを解説

現在、多くの企業は多種多様なシステムを業務に使用しています。複数のシステムを安定的に稼働させていく上で押さえておきたいのが「統合監視」という概念です。統合監視とは、組織のITインフラ全体を一元的に監視することです。この記事では、統合監視の必要性や仕組み、ツールの種類と検討ポイントについてわかりやすく解説します。

統合監視とは、組織のITインフラ全体を一元的に監視すること

統合監視とは、組織内に点在する複数のITインフラを一元的に監視することを指します。多くの企業において、ITインフラはさまざまなベンダーの製品を組み合わせて構成されているケースが大半です。想定されるITインフラの組み合わせは、以下に挙げるような状況が想定されます。

想定されるITインフラの組み合わせ

  • クラウドとオンプレミスのツールが併用されている
  • パブリッククラウドとプライベートクラウドが混在している
  • 複数のベンダーの機器・端末が利用されている

なお、クラウドとはサービス提供事業者が管理するサーバーやアプリケーションなどをネットワーク経由で利用する運用形態を指し、オンプレミスはサーバーやアプリケーションなどを自社で所有・管理する運用形態を指します。ITインフラを要素ごとに監視するとなると、監視すべき項目が重複したり、抜け漏れが生じたりする原因にもなりかねません。こうした事態を回避し、ITインフラ全体を効率良く適切に監視していくための仕組みが統合監視です。

統合監視が必要な理由

企業のITインフラは、事業の拡大や技術の進歩に応じて新たなツールやシステムを取り入れながら構築されていくケースが少なくありません。具体的な例としては、以下のような状況が想定されます。

ITインフラの変更例

  • オンプレミスで運用していた社内システムのうち、一部をクラウドへ移行した
  • テレワーク環境の構築に向けて特定の人のみが利用できるVPN(Virtual Private Network:仮想専用回線)を導入し、新たにファイアウォールを構築した
  • ネットワークの帯域を増強するためにルーターやスイッチを交換した

上記のようにITインフラが変更されると、多種多様なベンダーの製品が混在するマルチベンダー化が生じたり、クラウドとオンプレミスを併用するマルチ環境化が加速したりする要因となります。複雑化するITインフラを適切に監視し、安定的に運用していくには一元的な監視の仕組みが不可欠です。また、統合監視はすべての企業にとって万全なものではなく、メリットとデメリットがあります。それぞれについて把握した上で、自社にとって導入する必要性があるかどうかを判断することが大切です。

統合監視のメリット

統合監視によりITインフラを一元的に管理するメリットは、どのような点にあるのでしょうか。ここでは、統合監視を導入するメリットについて解説します。

運用が効率的になる

統合監視の仕組みを導入すると、監視項目の設定作業や監視ツールの運用が一元化され、担当者の負担が軽減されるのは大きなメリットです。複数のツールを運用する場合と比べると、効率的な運用が可能になる点もメリットとなります。

運用コストの削減が期待できる

統合監視を導入すると、運用コストの軽減につながる点もメリットです。監視する項目数によって料金が変動するツールを使用している場合、ライセンスが一本化されることによって費用の節減が期待できます。

統合監視のデメリット

統合監視の導入には、前述のとおりメリットがある一方で、デメリットもあります。統合監視を導入する際は、以下に紹介するデメリットも含めて検討することが大切です。

初期導入コストがかさみやすい

統合監視の仕組みを採用するデメリットとしては、初期導入コストがかさみやすい点が挙げられます。多くの監視ツールは初期導入コストがかかることから、ツールの新規導入やリプレースの際に費用がかかるのは避けられません。

ツールに不具合が生じると影響が広範囲に及ぶ

ITシステムの監視業務を一つのツールにまとめると、万が一そのツールに不具合が生じた際は広範囲に影響が及ぶ恐れがある点もデメリットです。そのため、不具合の解消に向けたサポート体制が充実しているか否かも、ツール選定の際の判断材料に加えておくことが大切です。

統合監視の仕組み

統合監視の仕組みは、「データ収集」「モニタリング」「アラート通知」の3要素に分けることができます。ここでは、それぞれの要素がどのような仕組みで総合監視を行うのかを解説します。

データ収集

統合監視を実現するには、監視対象となるサーバーやネットワーク機器、ストレージなどからローカルデータやアクセスログなど、膨大なデータ収集を行う必要があります。収集されたデータは分析や加工・編集がしやすいCSV形式のファイルなどに変換した状態で保存することが肝要です。そのため、総合監視においては監視対象から漏れなくデータを収集することに加え、テキストなどの構造化データや音声などの非構造化データを、それぞれの活用目的に合わせた形式へと変換する技術が求められます。

モニタリング

モニタリングとは、ITシステムの状態をリアルタイムでチェックすることを指します。モニタリングを適切に行うには、プログラムの実行やモジュールの内部状態、システム間の通信状態などを示すデータが観測可能な状態で収集されていなければなりません。観測可能な状態になっていることを、「オブザーバビリティ(可観測性)」といいます。オブザーバビリティを構成するものとしては、「メトリクス」「トレース」「ログ」の3要素が挙げられます。

オブザーバビリティの主要構成要素

  • メトリクス:CPU使用率といったリソース状況などを時系列で示す集計データ
  • トレース:障害が発生している場所やシステムの関係性などを可視化したデータ
  • ログ:ユーザーによる操作や通信といったイベントの履歴を示すデータ

これらの要素を組み合わせることにより、システムが正常に運用されていることを確認できるとともに、障害の早期発見も可能となります。

アラート通知

システムの異常を検知した際にアラートを発出し、メールやチャットツールを通じて運用管理担当者に通知することも統合管理においては重要な仕組みです。アラート通知の仕組みが確立されていることにより、運用管理担当者は常時目視による監視を行う必要がなくなるとともに、異常が検知された際にいち早く気づけます。具体的には、監視対象の指標ごとにあらかじめ設定されたしきい値を超えた場合や、システムエラーが発生した場合などに、リアルタイムでアラートが発出されます。

統合監視の主な要素

統合監視における監視対象は、多岐にわたります。主な要素として挙げられるのは「死活監視」「パフォーマンス監視」「ログ監視」の3点です。それぞれが統合監視においてどのように役に立つのか、具体的に見ていきます。

死活監視

死活監視とは、監視対象が停止することなく稼働しているかどうかを監視することを指します。監視対象のうち、たった一つでも稼働が停止している場合、ITシステム全体に影響を及ぼす障害に発展しかねません。重大なシステム障害に至る前に死活監視によって兆候を察知し、早期に対応することが求められます。なお、ITシステムの監視は24時間365日体制で実施することが求められます。そのため、死活監視は自動化し、不具合やトラブルが検知された際には運用管理担当者にアラートを発出する仕組みを構築するケースがほとんどです。

パフォーマンス監視

パフォーマンス監視とは、サーバーやネットワーク機器のリソースを監視し、著しいパフォーマンス低下が生じていないかをチェックすることを指します。サーバーやネットワーク機器のCPUやメモリの使用率が一定以上に達すると、システム全体のパフォーマンスが低下したり、システムが停止したりする事態に陥りかねません。こうした事態を避けるには、事前に監視対象にしきい値を設定し、しきい値を超えた際にはアラートで運用管理担当者に通知する仕組みを構築しておく必要があります。

ログ監視

ログ監視とは、監視対象において発生したイベントを時系列で記録しておくことを指します。ログにはユーザーのあらゆる操作履歴やアクセス履歴が随時記録されていくため、すべてのログを目視で常時監視するのは現実的ではありません。そこで、死活監視やパフォーマンス監視を通じて異常が検知された際に、ログを分析することで原因分析に役立てるのが一般的な活用方法です。

統合監視ツールの種類

続いては、統合監視ツールの主な種類を紹介します。統合管理ツールの種類は、「ソフトウェア型」「クラウド型」「オープンソース型」の3タイプに分けることができます。

ソフトウェア型

ソフトウェア型は、監視用サーバーにインストールして利用するタイプの統合監視ツールです。以前から多く見られるタイプのツールであり、中小企業から大企業まで幅広く対応可能なツールが多数提供されています。事前に用意されているテンプレートを選択するだけで監視設定が完了するツールや、必要な機能ごとにライセンスを購入できるタイプのツールもあるため、自社の用途に応じて適切なツールを選定できる点がメリットです。

クラウド型

クラウド型は、監視用サーバーを自社で用意する必要がなく、工数を抑えて導入しやすい統合監視ツールです。ソフトウェア型と比べて初期費用を抑えられることに加え、端末・機器1台から監視できるツールもあることから、小規模の事業者様にも適しています。監視対象が外部からアクセス可能な公開サーバー中心で、かつ小規模の監視の場合には、導入のハードルの低さと運用の手軽さを優先してクラウド型ツールが選ばれることもあります。

オープンソース型

オープンソース型は、OSS(オープンソースソフトウェア)として提供されている統合監視ツールです。無料で利用できる点や、カスタマイズ性に優れている点が大きな特徴といえます。一方で、自社に適した仕様にカスタマイズするには相応の技術力が不可欠となることに加え、ツールに不具合や障害が発生した際のサポートを受けられない点には注意が必要です。充実したサポートを求める事業者様は、ベンダーが提供するソフトウェア型またはクラウド型ツールを選ぶことをお勧めします。

統合型ツールの検討ポイント

これまでの解説を踏まえて、統合型ツールを検討する際に、チェックしておきたいポイントを紹介します。自社に合ったツールを選定する際には、以下の4点を踏まえておくことが大切です。

監視の範囲と深さ

まず検討したいポイントは、監視に対応している範囲と監視の深さです。大半の統合監視ツールは、主要な機器や基本的な監視項目については概ね対応しているケースが多いと考えられます。ただし、自社で使用している機器やソフトウェアがあまり一般的なものではない場合や、取得したいデータが詳細にわたる場合には、ツールによっては対応できない可能性も否定できません。監視対象に例外が生じるようでは統合監視の意味が薄れてしまうため、自社が想定している監視の範囲と深さに対応可能なツールかどうかは、漏れなく確認しておくことが大切です。

エージェント型とエージェントレス型

統合監視ツールには、大きく分けてエージェント型とエージェントレス型の2種類があります。エージェント型とは、データ収集に必要なアプリケーションを監視対象ごとにインストールするタイプのツールです。監視対象の数が多い場合には、導入や運用のための工数やコストが重なる可能性があります。これに対して、エージェントレス型のツールであれば、監視対象にアプリケーションをインストールする必要がありません。エージェントレス型は、監視対象のデータをさまざまな通信プロトコルを用いて収集してくれるため、エージェント型よりも導入・運用のコストを抑えられ、将来的に監視対象の範囲や領域を拡大する際にも柔軟に対応しやすいというメリットがあります。

運用を自動化する範囲

統合監視ツールの運用をどの範囲まで自動化するかによって、選ぶべきツールが絞られる場合もあります。システムの監視は24時間365日体制で行う必要がある上、監視対象が膨大な項目数に上るケースも多いことから、自動化できるプロセスは自動化するほうが現実的です。一方で、必ず目視によるチェックが欠かせない項目があるようなら、自動化プログラムから除外する設定が可能かどうかを確認しておく必要があります。自社の用途や運用方法に合わせて、運用を自動化する範囲を設定できるツールか否かも検討のポイントです。

サポート体制

ツールを提供するベンダーのサポート体制も、選定時には必ずチェックしておきたいポイントです。導入時の設定のほか、運用を開始してからの技術的なサポートを得られるかどうかによって、統合監視の導入・運用の成否が分かれるケースも少なくありません。サポート体制と一口にいっても、メールやチャット、電話などによる問い合わせに対応する形式のサポートから、定例ミーティングの場を設けて手厚いサポートを得られるケースまで、ベンダーによってサポートの提供内容はさまざまです。ベンダーによってはプランによって無償サポートの範囲が決められていたり、有償サポートに切り替える条件が設定されていたりする場合もあります。具体的なサポート内容について、十分に確認しておくことが重要です。

統合監視の導入は、運用を一元化できる点だけでもメリットが大きい

企業が活用するITシステムは細分化・複雑化しており、システム監視の対象や監視が必要な項目が膨大な量に上るケースも少なくありません。そのため、統合監視の仕組みを取り入れ、運用を一元化していくメリットは大きいといえます。

クライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View」は、複雑なITシステムの情報を集約し、一元管理する上で役立つツールです。「SKYSEA Client View」に搭載されている「ネットワーク機器情報収集」を活用することで、ネットワーク機器の状況を視覚的に表示できます。死活監視にも対応しており、電源状態に変化が生じた機器が検知された場合にはアラートで素早く通知。異常を早期に発見し、深刻なシステム障害に陥る前の早期対応をサポートします。

また、「SKYSEA Client View」では、PC上でのユーザーの操作や、外部との通信、ファイルへのアクセス状況など、PCのさまざまな挙動をログとして記録できるため、トラブル時にはログを用いた原因分析にも活用することが可能です。さらに、企業が保有するすべてのサーバーやネットワーク機器、PCを管理できる「資産管理」によって組織内のIT資産を1つの台帳で管理することで、運用の最適化やコストダウンにも役立ちます。

IT資産の安全かつ適切な運用を実現したい事業者様は、ぜひ「SKYSEA Client View」の活用をご検討ください。

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