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制度開始までに企業・組織が取り組むべき課題 マイナンバー制度の実務への影響と対策

仰星監査法人
公認会計士 マネージャー
岡田 健司

企業研修あるいは講演でマイナンバー制度の実務対応の講師を多く務め、実務対応のアドバイザリー業務、企業からの相談に応じている。また、日ごろはさまざまな業種、事業体の会計監査、株式上場支援業務に従事している。

会計・監査のプロフェッションとして財務情報の信頼性を確保し、クライアントの健全な事業活動を支援することを通じて、我が国の資本市場、さらには経済社会の公正な発展に貢献します。

マイナンバー制度の開始が来年の1月に迫っています。この新たな制度は、対応するべき事項が広範にわたりますが、残された準備期間はわずかです。制度に対応するためのプロジェクトをどのように進めるべきか、また見落としがちな事項などについて、マイナンバー制度の実務に関する研修などで講師を多く務められている、仰星監査法人の岡田 健司氏にお話を伺いました。

実務への影響が大きいのは、マイナンバーの「収集」と「廃棄」です

マイナンバー制度の開始に伴って、
企業・組織で対応が必要になる実務についてお聞かせください。

マイナンバー制度が始まることで、図1に示しているような実務対応が必要になります。まず、マイナンバーとこれに関連した情報を法定調書等として適切に出力できるようにするためには、マイナンバーを入手し、紐付いた情報の管理を厳格に行わなければなりません。そして、そのためには社内の事務フロー、規程やマニュアル、情報システム等の修正・改修を含めた社内体制の整備が重要となります。

図1マイナンバー制度により対応が必要となる企業実務

マイナンバー制度により対応が必要となる企業実務の図

マイナンバー制度に関する事項の中で、企業実務への影響が大きいのはマイナンバーの「収集」と「廃棄」です。従業員が多い企業や組織であれば、当然収集・管理しなければならないマイナンバーは多くなります。小売業などパートやアルバイト従業員が多い業種・業態では、入退社が頻繁に発生するため、マイナンバーの入手や廃棄にその都度対応しなければなりません。また、外部の有識者との業務委託契約を交わす際にもマイナンバーの入手が必要になりますし、拠点などで個人名義の土地を借りているといった場合には、地主のマイナンバーを入手することになります。

さらに、全国に支店や営業所がある場合、すべてのマイナンバーを本社で集中管理するのか、拠点単位で分散管理するのかも決めておかなければいけません。マイナンバーの影響範囲は多岐にわたるため、制度の運用開始までに多くの規程やルールを整備しなければなりません。

また、社内で使用しているシステムについても見直しが必要です。人事や給与のシステムは、汎用ソフトウェアであればメーカーが対応してくれるでしょうから、ソフトウェアをバージョンアップすればいいのですが、独自のシステムを使用しているのであれば、自分たちで改修しなければなりません。

マイナンバー制度が、自組織に及ぼす影響の大きさを把握するには、図2に挙げた【影響の要点】を踏まえて考えていただけば、ある程度イメージできるのではないでしょうか。さらに、マイナンバー管理の実務を検討する際には、【検討すべき論点】に示したことなどを考慮する必要があります。例えば源泉徴収票を作成する場合、確定申告で使用するのであればマイナンバーを記載して本人に対して発行することになります。しかし、住宅ローンなどの審査を受けるために使用するのであれば、帳票は本人を通じて金融機関にわたるため、マイナンバーを記載しないことが望まれます。このように同じ帳票でも使用目的によって実務の対応が異なる場合があります。そのほか、海外へ転勤する従業員のマイナンバーはどう管理するのかなど、個々の企業・組織の業種・業態や従業員数などによって検討すべき論点も異なってきます。

図2企業実務に与える影響の要点と検討すべき論点

企業実務に与える影響の要点と検討すべき論点

マイナンバーの収集に関して、
見落としがちな事項にはどのようなことが挙げられますか?

目的外利用の禁止

マイナンバーを含む特定個人情報については、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の第29条第3項によって読み替えられる個人情報保護法の第16条が適用されます。これによって、本人の同意があるなしにかかわらず目的外の利用はできません。つまり、法律で定められた目的以外では、マイナンバーを提供したり利用してはいけないということです。マイナンバーの提供・利用が認められる対象を正しく理解して、不用意にマイナンバーを提供・利用しない仕組みを作ることが重要になってきます。

個人番号カードに記載されたマイナンバー

2016年1月以降には、本人の申請に応じて顔写真付きの「個人番号カード」が発行されます。このカードは公的な身分証明証として使用することができます。法律で定められた目的のために従業員のマイナンバーを収集する場合は、個人番号カードの裏に記載されたマイナンバーをコピーすることができます。しかし、個人番号カードを単なる身分証明証として使用する際には、マイナンバーが記載された裏面をコピーすることはできません。そういったことを理解し、同じ業務水準が確保できるようにマニュアルを作成することも必要だと考えられます。

外部有識者など個人への支払処理

講演会などに外部講師を招き、謝金の支払いが発生した場合でも、これまではイベントを担当している営業部門や講演を依頼した広報部門の担当者が、講師と経理部門との間に入って支払業務の仲介をすることが多かったと思います。マイナンバー制度が開始されると、経理部門のマイナンバー事務取扱担当者が直接、講師の方と支払いのやりとりをするケースが多くなると予想されます。外部の方へこれまでと同様に支払処理を行う場合には、普段、業務でマイナンバーを扱わない現場担当者が外部講師のマイナンバーを預かることになりますので、その場合に起こり得るリスクを洗い出しておくことも必要です。

番号の入手が必要な対象

入手が必要な対象には、正社員だけでなくパートやアルバイト従業員も含まれ、国籍も関係ありません。また、上場企業や大企業では、株式事務を信託銀行等に委託されているので問題はないと思いますが、自社で株式事務を行っている場合には、支払調書の作成のため、株主のマイナンバーも収集対象となります。中小企業で株主を多く抱えていらっしゃるような場合には、業務負荷が大きくなることが予想されます。

地方拠点のマイナンバーの取り扱い

地方拠点におけるマイナンバーの取り扱いについては、各拠点に、制度を十分理解し責任を持って対応できる担当者(事務取扱担当者)を置けるのか、もし担当者を置けない場合には本社で一括対応するのかといったことを、自組織の構造とコストとの兼ね合いで判断することが求められます。各拠点に担当者を置く場合は、マイナンバーにかかわる事務が適切に執り行える仕組み作りと、ルールを周知徹底するための教育が非常に重要になります。

マイナンバーが変更された場合の社内手続き

原則として、マイナンバーは生涯同じ番号を使い続けることになりますが、漏洩して不正に用いられる可能性がある場合には変更することができます。もし、従業員などのマイナンバーが変更された場合には、自組織で管理しているマイナンバーも変更しなければなりません。しかし、番号変更の有無を漏れなく把握するため、毎年決まったタイミングで事務取扱担当者が従業員に確認するといった運用であれば、担当者の業務負荷が非常に大きくなってしまいます。そこで、マイナンバーが変更された場合には、速やかに、かつ漏れなく申告してもらうためのルールの整備と従業員への周知方法を検討してください。

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