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公開日2024.04.19

オンプレミスは時代遅れ? メリットやクラウドとの違いを解説

著者:Sky株式会社

オンプレミスは時代遅れ? メリットやクラウドとの違いを解説

「オンプレミス」は、システム関連の話題で耳にする言葉の一つです。しかし、漠然と使っているものの、その概念を正確に理解していない方も多いのではないでしょうか。この記事では、オンプレミスの歴史やオンプレミス特有のメリット・デメリット、オンプレミスとクラウドの違いについて解説します。

オンプレミスとは、自社内でシステムを構築・運用する形態のこと

オンプレミスとは、サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを自社で保有し、それらを用いて情報システムを構築・運用する形態を指します。システムの運用が自社内で完結するのがオンプレミスの特徴といえます。一方、オンプレミスと対をなすのが、近年急速に普及している「クラウド」です。こちらは、インターネットを通じてサーバーやネットワークなどのリソース、またソフトウェアを提供しているサービスを活用して、自社のシステムを構築・運用する形態を指します。

■オンプレミスとクラウドの違い

オンプレミスの歴史

これまで企業がシステムを利用する際は、自社内で構築・運用するのが一般的でした。しかし、システムの構築・運用に必要なリソースやソフトウェアを提供するクラウドサービスが登場したことにより、そのサービスを活用してシステムを運用するクラウドの形態と、自社内で運用するオンプレミスの形態が区別されるようになりました。クラウドは、1つのサーバーを複数企業で共用するホスティングと呼ばれるサービスなどもあり、オンプレミスと比べて初期コストなどを抑えられるのが特長です。一方で、オンプレミスの方が高い安全性を確保できるとも考えられており、必要に応じて使い分けされているのが現状です。

クラウドの利用状況

総務省が2022年に公表した「令和3年通信利用動向調査の結果」によれば、2021年の時点でクラウドサービスを全社的に利用している企業は42.7%とのことです。業種や事業内容によっては極めて機密性の高いデータを日常的に扱うため、安全性を考慮し、現在も多くの企業がクラウドではなくオンプレミスで運用していることが考えられます。

オンプレミスのメリット

自社のシステムをオンプレミスで運用するべきか判断する際には、オンプレミスの特徴を押さえておくことが重要です。ここでは、オンプレミスで運用するメリットについてご紹介します。

自由度とカスタマイズ性が高い

オンプレミスの場合、導入する機器やシステムの構成を自社で自由に決められます。自社にとって必要な機能や性能、セキュリティ要件などを反映させられる自由度の高さが大きなメリットです。また、将来的に機能拡張が必要になった際にも、自社運用しているシステムであれば柔軟にカスタマイズできます。メンテナンスや機能拡張のタイミングを自社の都合で決められるため、業務との兼ね合いを考慮した運用も可能です。

既存運用システムと連携がしやすい

すでに運用しているシステムと組み合わせたい場合、オンプレミスであれば既存のシステムに合わせて新たなシステムを構築できます。基幹システムや各種業務ツールなど、使い慣れた仕組みを生かしつつ導入できる点がオンプレミスのメリットといえます。クラウドの場合、機能や性能の面で申し分のないサービスであっても、既存システムと連携できないケースもあります。クラウドサービスと既存システムを別々に運用した場合、オペレーションが煩雑になるだけでなく、ヒューマンエラーの発生も懸念されます。

オンプレミスのデメリット

オンプレミスの導入を判断する際には、メリットだけでなくデメリットも押さえておく必要があります。オンプレミスのデメリットは、金銭的・人的コストがかかることです。これは物理サーバーなどの設備購入費だけでなく、システムの構築や継続的な運用にかかる人件費等も発生するためです。なお、クラウドは初期費用こそ抑えられますが、導入後は月額・年額の利用料がかかるのが一般的です。従って、長期的な目線でオンプレミスとクラウドのどちらがコストを抑えられるかを、十分に試算しておく必要があります。一般的に、クラウドは運用期間が長いほどランニングコストがかさみやすいため、期間によってはオンプレミスの方がトータルコストを抑えられるケースも少なくありません。

オンプレミスとクラウドの違いを比較

オンプレミスとクラウドには、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。コスト面や導入スピードなど、両者の特徴をさまざまな視点から比較します。

コスト面での比較

オンプレミスは導入時に、物理サーバー購入費などの初期費用がかかるほか、導入後はシステムを維持・管理していくための費用や管理担当者の人件費などが必要です。さらに、機器は自社の資産となることから、固定資産税を納める必要もあります。一方のクラウドは、オンプレミスと比べれば初期費用を大幅に抑えられます。ただし、運用開始後は月額・年額のサービス利用料がかかる点に注意が必要です。システムを自社で保有しているわけではないため、固定資産税は発生しません。

また、一般的な傾向として、大規模なシステムが必要なケースや多くのユーザーにライセンスを発行する必要があるケースでは、クラウドはランニングコストがかさみます。反対に、少人数で使用するシステムであれば、クラウドの方がトータルコストは低くなる場合もあります。

■コスト面の比較

オンプレミス クラウド
初期費用 まとまった費用がかかる 少額で済むケースが多い
固定費・維持費 機器の維持管理費
人件費
固定資産税
サービス利用料

導入スピードでの比較

導入スピードの面では、オンプレミスよりもクラウドの方が早いといえます。オンプレミスの場合は、機器の選定や購入、動作テストなどが必要なため、システムの設計・構築に時間を要します。クラウドであれば、機器の購入などを自社で行う必要がなく、基本的には契約さえ行えば利用できます。自社の用途に合わせて各種設定などを行う必要はありますが、クラウドはオンプレミスと比べて短期間で導入することが可能です。

カスタマイズ性での比較

オンプレミスは自社に合わせてシステムをカスタマイズできるため、柔軟な構築・運用が可能です。クラウドの場合は、あらかじめ用意されているプラン内での対応にとどまることから、カスタマイズ性の面ではオンプレミスほどの自由度がない場合もあります。

■カスタマイズ性の比較

オンプレミス クラウド
カスタマイズ性 高い 低い
拡張性 高い(拡張に伴う費用・時間は必要) クラウドサービスから提供されている範囲に限られる

セキュリティ面での比較

オンプレミスは、セキュリティ面に関しても自社が求める要件に合わせて構築できるため、自社のセキュリティポリシーに沿った対策を講じることができます。一方、クラウドを利用する場合は、提供ベンダーのセキュリティ対策に委ねることになります。しかし、昨今ではクラウドのセキュリティも向上しており、十分に信頼できるレベルに達しているケースも少なくありません。企業内のネットワークや機器を標的とするサイバー攻撃が増加していることから、オンプレミスの方が安全とは言い切れない場合もあります。

災害対応での比較

オンプレミスの場合、機器の物理的な故障が生じるとシステムダウンや障害につながる可能性があります。従って、災害発生時には機器の故障によって長期間システムを稼働できなくなるリスクがあります。クラウドの場合は、ベンダー側で設備の分散などをしているケースが多いため、災害によってサービス全体が利用停止となる可能性は低いといえます。何らかの障害が発生した際にも、復旧に向けた対応を自社で行う必要はなく、災害発生時の対応に関しては、オンプレミスよりもクラウドの方が優れている面が多いといえます。

オンプレミスは時代遅れなのか?

近年はクラウドが注目されやすい傾向にありますが、オンプレミスは決して時代遅れの運用形態ではなく、システムの規模やユーザー数によってはオンプレミスの方が適しているケースもあります。また、オンプレミスで運用してきたシステムを、クラウドへすべて移行するのはあまり現実的とはいえません。このような場合は、オンプレミスとクラウドを相互利用する「ハイブリッドクラウド」を検討することもお勧めです。ハイブリッドクラウドとは、次に挙げる3つのシステムリソースのうち、2種類以上を併用する運用形態を指します。

ハイブリッドクラウドで使われるシステムリソース

  • パブリッククラウド
  • プライベートクラウド
  • オンプレミス

ハイブリッドクラウドは、「オンプレミスのカスタマイズ性の高さ」と「クラウドの手軽さ」を組み合わせられるのが特長です。オンプレミスかクラウドかという二者択一ではなく、両者の長所をうまく生かしたハイブリッドクラウドの考え方を取り入れることで、より柔軟なシステムの構築・運用が可能になります。

▼ハイブリッドクラウドについては、こちらのページをご覧ください
効果的なハイブリッドクラウドの提供とお客様との共創で実現させるDX|SKYSEA Client View

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