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ビー・アイ・シー社会保険労務士法人
取締役 特定社会保険労務士 キャリアコンサルタント

清水 雅文

清水 雅文 氏

新しい働き方に対応せざるを得ない時代に突入し、今後、テレワークを取り入れることが企業の存続に欠かせないものになっていくと予想されます。導入には、セキュリティ対策以外にも対応すべき項目がいくつかありますが、労働関係法令がテレワークにも適用されることから、労働時間の管理は非常に重要となります。そこで、人事労務管理の専門家である社会保険労務士の清水 雅文氏に、法的な観点から対応すべきテレワーク導入のポイントについて、お話を伺いました。

労務関係のログ管理は管理部門へ移行
SKYSEA Client View なら実現できると思います

テレワークの導入を支援する助成金や補助金がいくつかありますが、導入や申請に関する相談は増えているのでしょうか?

東京都の中小企業が対象のテレワーク環境整備を支援する事業継続緊急対策(テレワーク)助成金は、当初5月末締切予定でありましたが、申し込みが殺到したことで何度も予定が延長され、現在は7月末までとなっています。

これまで、日本ではなかなかテレワークが浸透しませんでしたが、新型コロナウイルス感染症への感染拡大防止を目的とした働き方として、その必要性が広く認識されることになったと思います。

私どもには、テレワークの導入に関し、緊急事態宣言解除後もさまざまなご相談が寄せられています。このところ、今後の事業継続には、いつでもテレワークを選択できる環境が備わっていることが、欠かせないと考えられるようになった企業が増えたと感じています。

自然災害が多く、少子高齢化の問題を抱える日本にとって、テレワークは定着させていくべき働き方です。まだ整備を始められていない中小企業の方々には、厚生労働省が実施する「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」など、テレワークの導入を支援する各種制度をうまく活用して、環境整備に役立てていただきたいと思います。

助成金の申請にあたっては、コンサルティングを受けず自社で対応することも可能ですが、作業環境のほか、就業規則の改定を含む社内規定の整備も必要で、書類への記入ミスが発生する確率が高く、何度も申請窓口に出向くことになるなど、労力がかかります。コンサルティング費用が助成対象になっているものもありますので、手間や時間を考慮して費用対効果を考えると、社労士や専門家によるコンサルティングを受けることをお勧めします。

テレワークの導入に関して相談を受けられる際、必ずお伝えになることはありますか?

まず通勤交通費やPC使用時の電気代など費用の負担をどうするか、出退勤の時間などの労務管理や、社外での業務に対するセキュリティをどう担保するのかを決めてくださいとお伝えしています。これまで、多くの企業の労働条件や就業規則は、出社することを前提としたものでした。そのため、新型コロナウイルス感染症への感染拡大防止を目的にテレワークをスタートした企業では、従業員からの問い合わせに、参照する規則や規定がなく回答に戸惑われたこともあったのではないでしょうか。ぜひこのタイミングでテレワーク用の労働条件を整備し、出社とテレワークの両方に対応した内容に作り変えておくことをお勧めします。

テレワークに対応するための労働条件で一番大きな問題になっているのは、やはり「勤務実態の把握」です。自己申告制の勤怠管理システムだけでは、本当の始業・終業時刻がわからないため、業務の開始・終了時刻を把握できる、勤務実態が見える仕組みが求められています。従来の働き方では、出社さえすれば働いていると見なされましたが、テレワークでは何をもって働いていると判断するのか、判断基準について多くの企業が悩まれています。Webカメラで従業員を監視するシステムで、PCの前にちゃんと座っているかを確認している企業もあると聞きましたが、会社にいることを前提とした管理をテレワークに当てはめてもうまくいきません。テレワークだけでなく、今後も新たな働き方が求められるようになっていくと思いますが、古い考え方に合わせてITを活用するのではなく、今の時代に合った管理方法でITを活用することを検討いただきたいと思います。

弊社では、業務時間を把握するためには、勤怠管理システムと合わせてPCの操作ログの活用を提案しています。

私どもでもSKYSEA Client Viewを実際に活用していますが、PCごとにログオン / ログオフや操作開始 / 終了の履歴が確認できるので、業務時間の管理や業務の実態把握など、テレワークで課題とされている問題の解決に活用することができると感じております。Webカメラで業務状況を監視している企業の話をしましたが、カメラで常に行動をチェックされると、従業員のモチベーションが下がってしまいますし、カメラによる監視には強いストレスを感じる人もいます。テレワーク中の「監視」にPCの操作内容を記録しているログを活用すれば、従業員に過剰にストレスを与えない管理が可能になると思います。

また、SKYSEA Client Viewのログ閲覧画面は、ITにそれほど詳しくない方にもわかりやすく操作内容が表示されているので、労務管理を担当する管理部門の方に閲覧権限を付与すれば、労務管理の効率化が期待できるのではないでしょうか。管理部門の方はSKYSEA Client Viewが自社に導入されていることはご存じでも、労務管理に活用されているところは少ないかと思われます。労務管理へのログの活用を管理部門の方にお任せできれば、情報システム部門の方はセキュリティ対策やシステム管理に注力できるようになるのではないでしょうか。

テレワーク中の業務内容の把握

テレワークでは、Webブラウザを利用したアプリケーションを使う機会が増えます。
Webブラウザ上のOffice 365でのファイル作成や、Google ChromeブラウザでのWeb書き込み / アップロードログ、Gmailログなど、Webやアプリケーション経由での各種操作ログも取得できます。

テレワークの実施に踏み切れない理由として、セキュリティへの不安を挙げられている企業も多いようです。

私どもでは、扱っている情報の重要性から、4月に発令された緊急事態宣言ではテレワークの実施に踏み切れませんでした。機密情報へのアクセス制御はもちろん、さまざまな対策を講じていますが、それでも出社しなければ扱えない機密情報があります。しかし、そのほかの情報については、出社せずに扱うことが可能です。そこで、情報の格づけを行い、出社しなくても扱えると判断した業務についてはテレワークを実施できるよう検討を進めています。また、セキュリティ対策についても、機密情報へのアクセスにSKYSEA ClientViewのアラートを活用するなど、これまで以上に監視を強化していく予定です。社労士事務所は顧客の皆さまの大事な情報を扱っているため、私どもの従業員にはPCの操作ログをチェックしていること、メールの送信については内容まで確認していることを周知しています。やはり、「監視」していると知ってもらうことが、セキュリティ対策には大切だと思います。セキュリティの強化にはPCの操作ログが非常に重要となるため、テレワーク時にVPN接続を使用していない場合、ログが収集できるのか懸念事項として残っていましたが、SKYSEA Client Viewは、後日、社内LANに接続した際に収集できるということなので、問題がないと確認できました。

このほか、従業員のパフォーマンスの確認にもPCの操作ログが役立つのではないかと考えています。頼んだ仕事がなかなか上がってこないとき、部下の方のログを確認してみると、何の作業に多くの時間を費やしているのかを分析することもできます。私どもでは、通常勤務時に加え、業務実態が把握しづらいテレワークにもPCの操作ログを活用していければと思います。

「客観的方法による労働時間の把握」を怠ると
裁判で不利になることも

働き方改革関連法の施行で、時間外労働に対して以前よりも厳しい管理が求められるようになったことで、企業が取り組むべき対策についてお聞かせください。

例えば、過重労働の問題で労働基準監督署から調査を受けたときには、従業員が勤怠管理システムで申請した時間と、実際の労働時間の差異が調べられます。その際、提出を求められるのが勤怠管理システムやPCのログです。ビルの出入りの履歴情報を記録している場合には、それも提出を求められます。勤怠管理システムの申請時刻と、PCのログオフ時刻に差異がある場合には、なぜ差異があるのか、一つひとつ理由を書いて提出しなければなりません。1週間前のことなら思い出せると思いますが、半年も前の出来事を詳細まではっきりと覚えている人はなかなかいないので、理由を説明するだけでも大変な作業です。勤怠管理システムの申請時刻と、ログオフ時刻に差異が発生していないかを日頃から確認できる仕組みを用意して、差異があればその都度従業員に確認し、注意を促すことが望ましいと言えます。

2019年4月に改正された労働安全衛生法でも、働き方にかかわらず「客観的方法による労働時間の把握」が義務づけられました。企業は、従業員の健康管理義務を負っていますが、それを怠ったことによるトラブルや訴訟では、企業への損害賠償を命じる判決が増えています。テレワークの場合、客観的に把握できる要素が出社時に比べ少なくなるため、法的な問題に対する「客観的な事実」として、PCの操作ログの重要性が今後さらに高まると思います。

さまざまな事情からテレワークに踏み切れない企業の方へ、アドバイスをお願いします。

どうしてもテレワークができない業種や職種はありますが、できないと決めてしまう前に、まず、何かできる方法はないかを考えてみると、多くの企業ではITの活用やルールを作成することで、実は何とかなると思っています。すでに、仮想化技術やシンクライアントなどを活用することで、テレワークができないと思われていた業種でも実施され始めています。ある保険会社では、仮想デスクトップを活用して顧客の個人情報を扱うコールセンター業務を、100%テレワークで実施したという報道もありました。

今後、テレワークができる体制が整っていなければ、新型コロナウイルス感染症だけでなく、台風などの災害時に「テレワークのための準備、何もやっていなかったの?」と言われるようになっていくと思います。そうなる前に専門家やテレワークに対応したソリューションを提供している企業や組織に相談し、近い将来やってくるテレワーク全盛時代に備えてください。

(「SKYSEA Client View NEWS vol.73」 2020年7月掲載 / 2020年6月取材)

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