特集
ニューノーマル時代に実践すべきデータの運用・管理とは

働き方の転換期を迎えた今、テレワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、オンラインへのシフトなど、多くの場面で過去のやり方からの変化が求められるようになりました。これまで当たり前に行われてきたファイルの共有方法が廃止される流れになるなど、データの扱いもその1つです。
そこで、皆さまがサービスを選定される際のご参考として、法人向けの社内外の共同作業に活用できるクラウドサービス「Dropbox Business(以下、Dropbox)」について、Dropbox Japan 株式会社のご担当者にお話を伺いました。

Dropbox Japan 株式会社は、米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社がある、Dropbox Inc.の日本法人です。チームのコラボレーションを加速するクラウドサービス「Dropbox」は、180か国で7億人以上もの皆さまにご愛用いただいています。日本法人では、主に企業向け製品「Dropbox Business」の拡販を行っています。2020年提供を開始した、クラウド電子署名ソリューション「HelloSign」とともにご活用いただくことで、皆さまの未来の働き方を支援します。

オンプレミスと同様の感覚で運用できる使いやすさ

創業から現在に至るまで、貴社について簡単にご紹介ください。

当社のCEOドリュー・ハウストンがマサチューセッツ工科大学の学生だった当時、外出先にUSBデバイスを持参し忘れてしまい「クラウドでどこからでもデータを取り出せるようになれば便利なのに」と思ったことをきっかけに、クラウドストレージサービスの提供を思いつきます。その後、アラシュ・フェルドーシと共同で設立したのが「Dropbox」です。2007年の設立当初は個人向けのファイル保管サービスでしたが、2011年には法人向けのサービスの提供を開始。法人向けとしてもすでに10年の歴史を持つ会社です。当初はAWS(Amazon Web Services)上でサービスを提供していましたが、2015年からは自社でデータセンターを稼働するようになりました。このインタビュー時点で、50万社以上の法人、7億人以上のユーザーにご利用いただいています。

日本法人を開設した2014年当時、日本ではまだオンプレミスにデータを置くことがクラウドより安全だと考えるのが一般的でした。CEOのドリュー・ハウストンは日本法人開設時のメディアの取材に「クラウドを利用した経験がなければ、クラウド上にデータを置くことを不安に感じるかもしれない。しかし、利用者は徐々に自社で管理するよりも安全だと認識していくだろう」と語っていました。今では、日本でも多くの企業で「自社ですべてのデータを保全し運用管理するよりも、クラウドに預けた方が安全」という共通認識が生まれているように思います。当社は、その共通認識が生成された一翼を担ってきた自負があります。

2020年には電子署名ソリューション「HelloSign」の提供を開始しました。ファイルを中心に業務フロー全体の改善を意識し、ファイルの保存だけでなく契約も含めたソリューションとして提供しています。また、安全なファイル共有の強化を目的として、2021年3月にDocSend社を買収しました。ファイル共有プラットフォームの「DocSend」は、共有したファイルが閲覧されたかを参照できるだけでなく、共有した資料を誰がどこまで見たのかまでわかるので、さまざまな用途に活用いただけると思います。

「Dropbox」の特長についてお聞かせください。

特長を2つに絞るなら、データの共有を意識した設計と使いやすさです。企業・組織で使われるということは、部署やプロジェクトなどのグループ単位で同じファイルの使用が想定されるため、処理タイミングの一致を気にせず入力できる「非同期処理」に対応する必要があります。そこで、開発当初から、チーム全体の生産性を高めることを意識して、自分の都合の良いタイミングでファイルにアクセスして作業ができるように設計しました。

また、使いやすさについては、お客様からのフィードバックを大切にしています。世界中のお客様から寄せられるご意見を精査して、機能やUI(User Interface)を改善しているため、導入いただいた企業・組織内での利用率が高く、継続してご利用いただく割合も高くなっています。システムやサービスの選定時にご覧になる○×表記の機能比較表では、この「使いやすさ」が表現しづらいのですが、使い勝手が悪ければ活用が進まず費用対効果が出ないため、ツールの選定にあたってはとても重要なポイントです。NAS(Network Attached Storage)を使用している感覚でフォルダ構造が作れたり、フォルダ単位でのアクセス権設定など、これまで管理されてきたオンプレミスと同じように運用できることは、情報システム部門の方にとって扱いやすく使いやすいと感じていただけるのではないでしょうか。

お客様の声を大切にするため、当社では年に1度、日本のお客様数社が、米国本社の開発担当者と直接お話しいただける機会を設けています。開発担当に直接要望を伝えることができる場として、非常にご好評いただいています。UIの使い勝手のご要望に関しては、国によって大きな違いはありませんが、管理機能に対しては日本のお客様からのご要望が多いという傾向があります。IT部門以外の社員へ管理者権限の一部が付与できるようになったのも、IT担当者がいない拠点での業務を円滑に行うため、コンプライアンス担当者などにユーザーの追加等、一部の権限を与えたいという日本のお客様のご要望から対応しました。

一部の管理機能を現場の管理者に分散できる8種類の管理者権限

管理コンソールのインサイト ダッシュボード画面

すべてのファイルをセキュアな環境で共有

ファイル送付時の標準的なセキュリティ対策として使われてきたパスワード付きzipファイルの送付に代わる手段としてのお問い合わせも増えているのでしょうか?

デジタル改革担当大臣の発言の影響で、2020年から「脱PPAP」と呼ばれる、メールへのファイル添付を控える傾向が出てきて、お問い合わせも多数いただいています。Dropboxのファイル送付ツール「Dropbox Transfer」は、送付という名前のとおり、宅配便のようなシステムで、ファイルを送るための入れ物を作りその中にファイルを入れて送付できます。パスワードやリンクの有効期限も設定できますし、送った相手がファイルをダウンロードしたかどうかもわかります。いわゆる脱PPAPを目的として「Dropbox」を利用される場合、まずお使いになるのがこの機能です。

「Dropbox」は、建設業やマスメディアなどのクリエイティブ業界で活用されるケースが多いのですが、これは社内外のさまざまな人と共同でプロジェクトを運営・管理していくのに適したサービスだと感じていただけているからだと思います。先ほど「Dropbox」は共有を強く意識して開発したサービスだと申し上げましたが、これはUSBデバイスの延長線であることをコンセプトとしてスタートされたサービスとは大きく異なる点だと思っています。グループウェアのベンダーが提供されているストレージサービスは、そのベンダーのツールで作成したファイルを保存するには非常に便利なのに対し、「Dropbox」はお使いになるお客様のツールの種類、業種・業界を問わずすべてのファイルをセキュアな環境で共有できることを目指しました。脱PPAPのために「Dropbox」を導入されたお客様の多くが、「Transfer」だけでなくファイルやフォルダの共有機能をお使いになるのは、そこに価値を感じていただけているからだと思います。このところ、NASの置き換え用途や外部の方とのファイル共有など、組織の枠を越えたプロジェクト単位で活用できる共通の仕事場として利用されるお客様が非常に増えています。

「Dropbox」が他社製品との連携を強化されている理由についてお聞かせください。

「Dropbox」はサービス提供開始後、かなり早い段階から他社製品との連携を強化してきました。現在のビジネスシーンでは、以前から使われているワープロや表計算だけでなく、顧客管理やコミュニケーションなど、円滑に業務を行うためにたくさんのツールが導入され、ファイルの管理が煩雑になっています。そこで、連携製品についてはファイルの作成・保存・共有操作を「Dropbox」から行えるようにして、プレビューにも対応。ツールごとの画面遷移が不要で、操作ステップが省略されるので、ファイルの運用・管理が効率化できます。今後、マルチクラウドの選択やSaaSの利用が増加していくことを考えると、連携によるファイルのスマートな運用・管理はツールを選ぶ重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

また、SaaSの利用が増加すると、SaaSごとのサイロ化が課題です。顧客管理やチャットなどサービスごとに独立したフォルダが乱立し、大量にストレージを抱えているのと同じ状態になってしまう恐れがあるため、「Dropbox」をSaaS共通のファイル保存場所とすれば、サイロ化の防止と複数のツールをまたいだ情報の利活用が可能になります。

このところ、データを日本国内に置きたいと考える企業・組織が増えるなど、これまで以上にデータの安全性が重視されています。「Dropbox」のセキュリティへの対応についてお聞かせください。

当社では、日本国内のデータセンターを2019年から稼働しています。ベンダーによっては、国内のデータセンターを選択すると追加料金がかかる場合もありますが、日本のお客様の多くが国内を希望されるため、日本のお客様のデフォルト設定は日本です。海外を希望される場合は、別途選んでいただくことになります。

セキュリティに対する検討項目には、データセンターの場所だけでなく、外部の人間によるデータへの不正アクセスをいかに防ぐかという課題もあります。「Dropbox」は、保存しているファイルそのものをブロック単位で暗号化し、漏洩リスクを厳しく管理していますので、単純にファイルをローカルドライブに置いているのかクラウドに置いているかの違いではありません。もちろん、物理環境におけるデータ保護や各種コンプライアンス要件にも対応しています(下図)。

「Dropbox」のセキュリティ対策概要

また、証跡管理に重要なログの強化も行いました。「Dropbox」の操作ログは、契約期間内は残り続けますが、その間に万が一不適切な上書き・修正が行われた場合は、180日前までさかのぼって履歴を確認できます。オンプレミスでは、情報システム部門の方がバックアップデータからリストアしなければなりませんが、「Dropbox」は年間利用料の中でこの作業がカバーされていますので、作業工数を考えるとコスト面でもメリットがあると思います。作業工数の削減効果については、下図をご覧ください。

「Dropbox」導入による作業工数削減効果の算出例(従業員規模 3,500人)

セキュリティを強化する観点では、SKYSEA Client Viewとの連携も検討していきたいと考えていますので、SKYSEA Client Viewのお客様にとって+αの導入メリットを感じていただけるよう進めていきます。

多くの企業・組織が取り組まれているDXについて、「Dropbox」がどのような役割を果たすのかお聞かせください。

DXは企業の競争力を高めるためのアプリケーション領域と考えている方が多いと思いますが、私どもはデスクワーク従事者の方々の生産性をどう上げていくかに焦点を当てています。ファイルを共有することは、チーム全体、プロジェクト全体の透明度を高め、共同作業の効率を上げるだけでなく、テレワークによって増えたオンライン会議の効率化にもつながります。実は、会議の大半が報告や文章を共有するだけの会議になってはいないでしょうか。何かを決めるための意味のある会議でなければ、会議が生産性を下げる原因になってしまいます。ファイルの共有と非同期を生かせば不要な会議が減り、本当に必要な会議をセッティングしやすくなりますし、必要な会議も効率化され生産性の向上に役立つはずです。会議の見直しは、DXに取り組む際に真っ先に改善すべき課題で、デスクワーク従事者の方々の生産性向上に直結します。

当社のWebサイトでは、実際に私どもが直面した働き方に関するさまざまな課題に、「Dropbox」やそのほかのツールを活用してどう解決していったのか、事例を公開しています。私どもはテクノロジーの提供だけでなく、ニューノーマルな働き方が求められるこれからの時代に必要な取り組みをご提案していますので、ぜひご相談ください。

情報システム部門の方にメッセージをお願いします。

私どもは、ストレージを共通化することで、皆さまの業務の生産性向上に対する問題を解決したいと考えています。実際に使ってみて本当に価値のあるツールだと感じていただけるよう、使いやすさにこだわっていますので、ぜひトライアルにお申し込みください。無償期間は30日ですが、この間に試してみるべきことを記載したマニュアルもご用意しています。トライアルでよくあるのが「ちょっと触ってみたけどよくわからないうちに期限が来てしまった」というパターンです。そうならないために、当社では1週間ごとに試していただきたい内容をご提案していますので、実際に業務でお使いになるはずの操作性をひととおり体験していただけます。道具は実際に使われて初めて価値を見いだせるものです。今後、情報システム部門の皆さまは、クラウドサービスの管理者としての役割が大きくなっていくと思いますが、そのとき新たなサイロを生まないための共通ストレージとして、また、社内外との共同作業のハブとしても、ぜひ「Dropbox」をご検討ください。

(「SKYSEA Client View NEWS vol.80」 2021年9月掲載 / 2021年7月オンライン取材)

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