選ばれるパブリッククラウドへ 一歩先を行くMicrosoft Azureのセキュリティ対策

クラウドサービスとしては後発となるMicrosoft Azure。近年、これまででは考えられなかったオープンソースとの融合を打ち出すなど、クラウドサービスとして存在感を放っています。2015年7月にサポート終了が迫るWindows Server 2003の移行先としても注目を集めるMicrosoft Azureの現状について、ご担当者様にお話を伺いました。

2か所のリージョン設置で国内でのディザスタリカバリが可能に

現在、さまざまなクラウドベンダーからサービスが提供されていますが、
Microsoft Azureの特長についてお聞かせください。

北川 剛 氏

日本マイクロソフト株式会社
サーバープラットフォームビジネス本部
クラウドアプリケーションビジネス部
エグゼクティブプロダクトマネージャー

北川 剛

大きな特長としては、国内に2か所のリージョンを設置していることがあげられます。日本のような国土の狭い国に2つのリージョン(データセンター群)は必要ないと思われるかもしれませんが、「必ず国内にデータを留め置きたい」「災害対策目的のためでも、海外にデータを置くことには抵抗がある」、という国内のお客様のご要望にお応えできるよう2014年2月26日、東京と大阪にリージョンを開設しました。2011年の東日本大震災後の開設ということもあり、データセンターの設置には海岸線からの距離も考慮しました。国内でのディザスタリカバリ(災害により被害を受けたシステムの復旧・修復)を求められているお客様は多く、非常に好評をいただいています。

この、国内2か所のリージョン開設後、Microsoft Azureは売り上げを大きく伸ばしました。世界的な調査でも、他社のクラウドベンダーの売り上げ伸び率が150%未満のところ、それを越える成長率を示すデータが公開されています。

「データセンターは国内に設置したい」という要望が強いのは、
日本のお客様の特徴なのでしょうか?

日本のお客様特有のご要望というよりも、エンジニアリングの観点から、企業組織のネットワークの管理・設計担当者はデータセンターまでの距離を重視されるのが一般的です。そのため、ネットワークレイテンシ(ネットワークの遅延)や、設計上のコンプライアンスを考慮して国内にデータを置きたいと考えられることが多いようです。

また、反対に国内にこだわらず、メインの利用者がどのエリアにいるのかということをリージョンの選択要因としてあげられることもあります。日本の企業だからという理由で日本のデータセンターに一極集中させるより、利用者が多い場所にデプロイ(システムを利用可能な状態に)することを選択されるケースもあります。

Microsoft Azureは世界に19か所のリージョンを設置しているマルチリージョンクラウドですから、お客様は効率を考えてどこのリージョンをお使いになるかを選ばれています。

国内のリージョンであっても、Microsoft Azure上のWindows Serverのイメージが
英語版のため、日本語化するのに手間取るのではないのでしょうか?

谷 彩子 氏

日本マイクロソフト株式会社
サーバープラットフォームビジネス本部
クラウドアプリケーションビジネス部
エグゼクティブプロダクトマネージャー

谷 彩子

現時点では、日本語化を求められるお客様には、ランゲージパックを適用していただくことになります。実は、私どものサポートには、お客様からの直接のリクエストとして「日本語に対応してほしい」というご要望はほとんど入っていません。もっと多くのご要望が寄せられると予想していたのですが、一度ランゲージパックを適用してしまえば再び作業が発生することはないので、わざわざ要望をあげる方が面倒だと思われているのかもしれません。

また、Microsoft Azureのユーザーコミュニティなどが、作業に必要な手順をblogに公開されていますので、それをお客様がご覧になることで、実際にはそれほどお困りになっていないということもあるかもしれません。

とはいえ、私どもに届いていないお客様の声があることは想像できますので、現在、日本語版の提供について米国本社のプログラムチームと調整中です。年内には対応したいと考えていますので、ぜひご期待いただきたいと思います。

ユーザーの方々は、マイクロソフト社へのリクエストの方法を
ご存じないのではないでしょうか?

確かに、お客様への周知不足の面はあると思います。サポート契約内容にかかわらず、Microsoft Azureへのご要望については、Microsoft Azureの管理ポータルのサポートリクエストのページからリクエストが可能です。図1Microsoft Azureのサポートは月額定額制ですので、1回の電話ごとに3万円かかるというようなものではありません。また、細かい仕様についてのお問い合わせなどには対応していませんが、サービスが正常に動作しないなどのお問い合わせに関しては、月額3千円台から対応できます。

図1Microsoft Azureへのリクエストは、管理ポータルから

オープンソースなどさまざまなテクノロジーとの融合で
市場の多様化に対応

そのほか、他社のクラウドプラットフォームと比較した
Microsoft Azureの強みについてお聞かせください。

「パブリッククラウド」という意味での比較では、あまり大きな差がありません。コーラを飲みたいときに、A社とB社のどちらを選ぶかというような違いです。しかし、Microsoft Azureは、マイクロソフト製品群との相性やActive Directory(以下AD)をベースとした認証基盤の作りやすさ、オンプレミス環境との連動性など、既存の情報プラットフォームとの連動に対して圧倒的な強みを発揮します。オンプレミス環境と連動するシステムの構築では、初めから連動できる機能を備えている製品の方が作業も簡単なうえ、低コストで構築できます。

例えば、マイクロソフトのサーバー仮想化技術である「Hyper-V」をクラウド環境に移行するとします。もし、他社のクラウドプラットフォームですと、「Hyper-V」の仮想ディスクを認識できるように変換する必要があります。この場合、変換後のデータ等へのサポートについて誰が責任を持つのかが問題になることがあります。Microsoft Azureであれば、オンプレミスで使用している仮想マシンをそのままクラウド環境へ移行できますので、安心してこれまでの環境をお使いいただけます。

また、Windows Serverで構築されたADによる認証基盤は、そのままMicrosoft Azureでもお使いいただけます。企業・組織で幅広く使われているADによる認証基盤の重要性は、他社のクラウドプラットフォームが「AD認証への対応」をアピールポイントにされていることからも明らかだと思います。

マイクロソフト=Windowsというイメージを持たれている方は多いと思いますが、
Linuxなどのオープンソースへの対応を表明されているのは
どういった理由からでしょうか?

お客様がクラウドプラットフォームを選定される際、既存のLinux環境用に他社を選び、マイクロソフト製品を使うためにMicrosoft Azureを選ばれることがあります。このようにマルチクラウドを採用されるよりも、1社のプラットフォームに集中された方が契約上のコストを安くすることができます。ただ、選ばれるためには対応しているOSの選択肢が多いことが重要になります。2014年4月に行った「Windows Azure」から「Microsoft Azure」への名称変更は、マイクロソフトがオープンソースをはじめとするさまざまなテクノロジーと融合していく姿勢のアピールでもありました。

Microsoft Azureは、Linuxだけでなく可能な限り多数のプラットフォームをサポートしていかなければいけないと考えており、オープンソースについてもサポートしていきます。そのひとつに、注目を集めているオープンソースのコンテナー管理ソフトウェア「Docker」への対応を発表しました。これは、Linux環境だけでなくWindows環境についても対応します。「Docker」やそのほかのオープンソースでWindowsを使えるようにするということについては、われわれの協力は必要不可欠です。今後も、標準技術に対してマイクロソフト製品への対応をお客様から求められれば、可能な限り対応していきます。

こういった動きは、市場が多様化してクラウドファースト、モバイルファーストと考えられるお客様が増えてきたことに関係しています。マイクロソフトでは、社内に「Microsoft Open Technologies」という組織を作り、積極的にオープンソースにコミットしていますし、マイクロソフト全体のビジョンとしてもオープンソースやデベロッパーによる開発とシームレス(複数のサービスを違和感なく統合して利用する)につながっていくことをめざしています。今後もオープンソースソフトウェアの発展・機能拡張には投資を行っていきます。

2015年7月15日にサポートが終了するWindows Server 2003の移行先として
Microsoft Azureを検討されているお客様へ、お勧めされている活用をお聞かせください。

外部公開用のWebサイトなどは、クラウドの強みが一番発揮できる分野と言えます。クラウドが始まった当初、手軽にスケールアウトできることが強調され過ぎたため、クラウドはキャンペーンサイトなどの一時的な使用に適していて、スケールの必要がない常設のWebサイトには向いていないという印象を持たれている方が多いのではないでしょうか。しかし実際には、社内業務システムとは連携していない、最低限必要な情報を外部向けに公開しているスケール不要のWebサイトこそ、もっともクラウドに向いていると言えます。

Microsoft Azureがお勧めするのは、PaaS(アプリケーションを実行するためのプラットフォーム)として提供しているサービスである「Azure Websites」の利用です。「Azure Websites」はMySQLやPHP、Javaなどのさまざまなデータベースや言語に対応しており、上位プランを選択することでスケールアウトやSSL対応、地理冗長(災害などである地域で障害が発生してもシステムは止まらないように冗長化する)などのさまざまなオプションも利用できる、非常に便利なサービスです。ディスク領域が1GBくらいの範囲であれば、無料でWebサイトを公開できます。

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