扶養控除申告書の場合、基本的にはこれまでと同様で、家族が職場に出向いて本人確認する必要はありません。以前から、扶養控除申告書は従業員が家族分もあわせて事業者に提出することになっており、マイナンバーについても家族分を記入してもらって提出することになります。
国民年金の第3号被保険者の届出の場合は、制度上は第3号被保険者の方が事業者に提出することになっています。ただし、実際には家族が職場まで来て本人確認している事業者はなく、従業員が代わりに書類を提出していると思います。具体的な手続きは今後厚生労働省が示す予定ですが、これまでどおり、従業員が代わりに手続きできるようにします。
基本的には、図4の4つで問題ないと思います。組織の規模に応じて必要な対応は異なりますが、まずは担当者を決めるところからスタートしていただき、その担当者がマイナンバー制度を理解して、自組織にはどのような対応が必要なのか、基本的な方向性を決めてもらいます。その上で、人事や給与システムを導入されているのであれば、そのシステムがマイナンバーに対応するか確認が必要です。なお、これまでシステムを導入されていなかった場合、マイナンバー制度のために新たにシステムを導入することは必須ではありません。
特定個人情報保護のために義務付けられている「安全管理措置」については、ガイドラインが用意されています。しかしマイナンバーが紐付くのは、今も機微な個人情報であり、大企業では、すでに「安全管理措置」と同程度の個人情報の管理が行われていると思いますので、マイナンバー制度の導入に際して追加施策が必要になる項目を確認して対応してください。小規模事業者向けには、最低限必要になる施策をまとめた資料を作成ご用意していますので、それを参考にしていただければと思います。
▼小規模事業者向け資料
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/k_shoutengai_h2705.pdfまた、マイナンバーに紐付いた情報を故意に漏えいした場合には、新たな罰則規定が設けられています。基本的に、過失による漏えいに対して罰則は適用されませんが、故意に漏えいした場合には、個人情報保護に関する法律よりも厳しい罰則があります。しかし、事業者にとっては罰則よりも、被害者から民事上の責任を問われ信用・信頼が失われることの方が問題となるのではないでしょうか。
人事や給与・税の情報を、今もいい加減に管理している事業者はいないはずです。本人確認や「退職者のマイナンバーを適切に廃棄する」といった新たに加わる手順については詳細に決める必要がありますが、現在の管理の継続を基本として、必要に応じて見直すことになります。
全従業員に対しては、先ほどお伝えした「マイナンバーは10月以降に届く」「通知カードを保管する」「使用する分野は限定される」ということを、社内報やグループウェアの掲示版などで告知していただければと思います。実際に人事や給与でマイナンバーを扱う従業員の方は、内閣官房のマイナンバーのWebサイトからガイドラインなど広報資料をダウンロードし、内容を確認いただいた上で、ガイドラインの中身に沿った対応の準備をすぐに始めてください。