□□県○○市立△△中学校では、生徒の成績をパソコンで処理し、校務の効率化を図っている。
その日、教員Aは、職員室のPCコーナーで成績データの打ち込み作業を1人で行っていた。160 名の成績データの打ち込みは、結構な作業量である。高校入試に必要な調査書などの書類に影響するため、入力ミスがあってはいけない。教員Aは緊張しながら作業していた。
するとそこに
生徒A:「先生!先生のクラスのCくんとDくんが喧嘩してる!」
職員:「え!? 本当ですか? どこの公園ですか?何時頃、その書類を拾われました?」
1人の生徒が飛び込んできた。
教員A:「そりゃ大変だ!」
教員Aは、あわてて職員室を飛び出して現場へ向かった。
作業中のコンピュータは一時、無人の状態にさらされた。
それから1ヶ月後のことだった
教育委員会:「おたくの生徒が個人のホームページに成績情報らしきものを掲載している。調査するように」
校長:「えっ!どういうことでしょうか…!?」
驚いた校長は、すぐさま教職員に成績情報の校外持ち出しの有無の確認を行うとともに、当該の生徒Bに対して、確認を行った。
結果、どの教職員も、成績情報の持ち出しをしていなかった。しかし、生徒たちの間で、生徒Bのホームページに、成績情報が載っていたらしいという噂が1ヶ月ほど前にあったとの証言を得た。
そういえば、1ヶ月前、教員Aが職員室を飛び出したとき、職員室の入り口でぶつかりそうになったのが、生徒Bだった。
生徒B:「職員室に行ったら、成績の表がパソコンに表示されていたんです。それをフロッピーにコピーして友達同士で成績を見れるようにしたかったんです」
生徒Bはホームページに掲載することで、世界中の人々に成績表を見せることになるとは意識になかった。
国のIT戦略本部は「重点計画-2006」 の中で、「子どもたちの情報モラル教育の充実を進めていく」としています。個人情報に該当する情報を公衆の目に触れるような状態にした生徒Bの行動は、情報モラルの観点で責められるものです。しかし、成績という重要な情報を生徒が持ち出すことができる状態にしていた教員Aの責任も重大であり、管理職である校長も責任を問われます。
SKYSEA Client View はファイル操作ログを収集しています。特定のファイルを追跡する機能を使えば、この事件のようなコピーをしてファイルの持ち出されたことを調べることができます。教員Aが席に戻った時にログを調べ、状況が早期に分かれば、生徒Bがホームページに掲載することを止めることができたかも知れません。また、外部記憶媒体制限を使ってフロッピーディスクやUSBメモリを利用禁止にしておけば、データの持ち出しを未然に防ぐことができたと考えられます。
※情報セキュリティ事件簿は実際にあった事件を元に構成したフィクションです。