勝を称る者の民を戦わすや、積水を千仭の谿に決するが若き者は、形なり。
現代語訳
彼我の勝敗を計量する者は、人民を戦闘させるにあたり、満々とたたえた水を千仭の谷底へ決壊させるように仕組む。それこそが勝利に至る態勢なのである。
積水ハウスなどの「積水」の語源となった有名な孫子の一説です。
勝利のためには、従業員が貯めた水を放つダムのように濁流となってなだれ込む態勢を作ることこそ重要な要素であると説いています。
企業経営でも、一点集中で突破する選択と集中が勝利の秘訣です。検討を重ね、「ここだっ!」と選択した分野には思い切った投資が必要であり、ちょろちょろと片手間で小出しにヒト・モノ・カネを投資するだけでは、結局何の成果も生まれずに終わっていきます。
このことは攻めに限らず、情報セキュリティ対策という守りにおいてもいえるでしょう。
情報セキュリティ技術は日進月歩です。
今日導入しても、明日には古くなるかもしれません。したがって、将来どの程度の情報セキュリティ体制が必要になるかを予測し、そこから逆算して今必要な体制を整備する。そして、新技術の登場に合わせて随時更新していくような投資が理想的です。
隣の会社が情報セキュリティ対策で何かを始めたから、うちも同じものを入れよう…という安易な発想で小出しに投資したのでは、自社にぴったりの情報セキュリティ体制は構築できないでしょう。
自社の数年後をにらみ、どのような情報セキュリティが必要になるのか十分に検討し、そこから逆算して今打つべき手を思いきって打ってこそ、セキュリティ性は高まるのです。