やるときは一気呵成に!小出しでは意識改革につながらない。

やるときは一気呵成に!小出しでは意識改革につながらない。

勝を称る者の民を戦わすや、積水を千仭の谿に決するが若き者は、形なり。

現代語訳

彼我の勝敗を計量する者は、人民を戦闘させるにあたり、満々とたたえた水を千仭の谷底へ決壊させるように仕組む。それこそが勝利に至る態勢なのである。

積水ハウスなどの「積水」の語源となった有名な孫子の一説です。
勝利のためには、従業員が貯めた水を放つダムのように濁流となってなだれ込む態勢を作ることこそ重要な要素であると説いています。

先を見据えた投資が理想的 企業経営でも、一点集中で突破する選択と集中が勝利の秘訣です。検討を重ね、「ここだっ!」と選択した分野には思い切った投資が必要であり、ちょろちょろと片手間で小出しにヒト・モノ・カネを投資するだけでは、結局何の成果も生まれずに終わっていきます。

このことは攻めに限らず、情報セキュリティ対策という守りにおいてもいえるでしょう。

情報セキュリティ技術は日進月歩です。
今日導入しても、明日には古くなるかもしれません。したがって、将来どの程度の情報セキュリティ体制が必要になるかを予測し、そこから逆算して今必要な体制を整備する。そして、新技術の登場に合わせて随時更新していくような投資が理想的です。

隣の会社が情報セキュリティ対策で何かを始めたから、うちも同じものを入れよう…という安易な発想で小出しに投資したのでは、自社にぴったりの情報セキュリティ体制は構築できないでしょう。

自社の数年後をにらみ、どのような情報セキュリティが必要になるのか十分に検討し、そこから逆算して今打つべき手を思いきって打ってこそ、セキュリティ性は高まるのです。

酒井英之氏

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
経営戦略部長兼プリンシパル
酒井 英之

慶應義塾大学経済学部卒業後、ブラザー工業入社。
27歳のとき、仲間と広告会社を興すものの事業に失敗。このときの教訓を生かすべく、経営コンサルタントに転身。
「目標達成なくして人材育成なし」をモットーに、成果を出すコンサルティングにこだわり続け、指導した先は300社以上。
主な著書に『スーパー上司力!』(アーク出版)、『稼ぐチームのつくり方』『勝ち組になる会社・なれない会社』(以上、PHP研究所)など。 経済産業大臣認定 中小企業診断士。

孫氏に学ぶ情報セキュリティ
やるときは一気呵成に!小出しでは意識改革につながらない。
大企業は小集団を多数作り、セキュリティ意識を浸透させよ。
面倒くさい!との反論も覚悟してセキュリティ対策に取り組め。
セキュリティ管理も、数値目標があるとPDCAがよく回る。
現地・現物・現実の3現主義をセキュリティにも取り入れよ。
道具を持たせると、社員のセキュリティ意識は高くなる。
セキュリティ対策は日進月歩。これで十分と思ったら負け。
セキュリティの事後対応はとても大変。先手先手で準備せよ。
セキュリティは明日よりは今日、今日よりも今すぐ実行を!
いつ攻められてもいいように守りを固める。すると、敵が離れていく。
守りを固め不安をなくす。攻めるのは、それからだ。
兵法に学ぶ情報セキュリティの五原則
『百戦危うからず』のために
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